月曜日, 8月 20, 2007

Mt.Aberdeen(3151m)HaddoPeak(3070m) via East Slope

 先輩ガイドユージさん、タイチさん、そしてユージ夫人・メグちゃんと日程を合わせて、レイクルイーズエリアにあるMt.Aberdeen(3151m)とHaddoPeak(3070m)に行ってきました。ルートはAberdeenとHaddoのコルに突き上げる氷河を上るEast Slopeルート。この山のヴァリエーションルートのなかではもっとも簡単なルートです。そして下りは反対にあるPradais Valleyへ歩いて下る、という計画。核心部は氷河の取り付きのもっとも斜度のある部分。ガイドブックによると、アルパイングレードⅡ。この手のルートでは入門に最適!とあったので一応僕だけダブルアックスを持ち、残りの面子はシングルアックス。スクリュー7本用意して行きました。
 通いなれたFairview Mountainへの道からSuprise Valleyへトラバース。Haddo Peakの立派な北東壁を眺めながら歩くと、次第に目的の氷河を見えてきます。しかし、ガイドブックの表記とはあまりに違う威圧感に全員たまげました。まぁ取り付いてみるとそんなでもなかったのですが、最初は辞めとこうかな、、なんて考えましたよ。


登攀ルートの氷河 /リードするわたくし/フォローするTaichi, Meg & Yuji / 詰めの悪い岩場

 しかし登り始めると、硬すぎず柔らかすぎない氷であることが分かり、久々のアイスクライミングにも関わらずかなり楽しんでリードできました。氷河の氷は粘りがありとても快適です。
 約4ピッチで斜度が落ち上部の氷河プラトーに出ます。クレバスを避けながら歩き、さらに上部に立ちはだかるセラックを避けるようにトラバースし、かなり腐った岩場を落石で仲間を打ち落とさないように気をつけて登りきると目的のピークに挟まれたコルに到着しました。
 ここで時すでに16時。しかし目の前にあるピークを逃すのはおしいのでとりあえずHaddo Peakへ。そしてまたコルに戻り反対のMt.Aberdeen山頂へ。山頂まで10時間という長い登りとなりました。山頂からの風景が圧巻でした。レイクルイーズ周辺はとてもなじみのある場所だと思っていましたが、Victoria、Temple、Ten Peaksがいつもと違う方向から見ることができ、改めてこのエリアのすごさを感じました。3000m級の山々がとても狭い地域に集中しているんですね。いや~感動しました。
 そして下り。氷河を降りることなくParadaise Valley経由でLake Louiseへ戻れるので気楽に考えていましたが、実はこれもまた核心でした。延々と続く微妙に下りづらいガレ場、濃い藪漕ぎ、さらに約10Kmのトレイル。結局最後はヘッデンの世話になり、夜11時、駐車場に到着したのでした。


Mt.Aberdeen 山頂にて

 今回は登りのリードでくたびれてしまい下りは思考停止気味でしたが、バックパッキングガイドの先輩にリードしてもらい、いいチームワークで長い一日を乗り越えられました。みんなサンキューです。あまりテクニカルではないアルパインクライミング入門ルートでしたが、かなりの体力が必要でした。結構お薦めできるルートです。

Member : Jiro, Taichi, Yuji, Meg
Time:Parking 7:30 / 取り付き
10:30 / Col 15:50 / Aberdeen Summit 17:30 /
Paradise Valley 20:20 / Parking 23:00
Gear: Double Axe (最低1人), Ice screw ×7, Double Rope ×2 (2人ならシングル1本)
2007.08.15


Photo information:
Ricoh GR-Digital by Jiro
Eos Kiss Digital by Yuji

火曜日, 8月 14, 2007

Mt. Yamnuska - Grillmair Chimney (5.6)

 僕の所属するガイド会社の名前にもなっているマウントヤムナスカ。ヤムの愛称で親しまれ、沢山のハイカーも訪れるこの山ですが、見ての通り南側はとてつもない崖です。一番高いところで350mぐらいでしょうか。ハイウェイからも見えて結構立派だなぁ、と今年の5月にこちらに来てからずっと眺めていましたが、やっとその壁を登る機会がやってきました。まぁパートナー問題や登攀具問題など色々とあったわけです。でも今回初アルパインロックデビューというTaichiさんが付き合ってくれました。まずは基本から、ということでこの壁の開拓記の始まりとともに初登されたGrillmair Chimney(約300m)に行ってきました。


Mt.Yamnuska 赤線がGrillmair Chimneyルート

 ルートは概ね巨大なガリーを辿る為、ルートファインディングは楽です。左バリエーション2P目で核心の5.7のチムニーが出てきました。エッジが欠けたり、奥のクラックがでか過ぎてプロテクションが皆無だったりして結構奮闘しました。久々にニーロックとかきめましたよ。

 あとはどんどんガリーを登り、最後は超巨大チムニーに潜り込みケイビングのように穴から這い出して終了。体がはまりそうな隙間を通ると壁の裏側に出てくるという素晴らしいフィニッシュに二人で感動いたしました。わりとグレード通りのやさしめルートでしたが、一気にヤムナスカという山が身近になった記念すべき1本でした。やたらとこの壁に通いそうな感じです。


トンネルを抜けるとそこは終了点

Member : Jiro、Taichi
Time:取り付き
09:15 / 終了点 13:10
2007.08.12

Photo information:

Ricoh GR-Digital

月曜日, 8月 13, 2007

Mt. Cory

 しばらく雨が降り続きここバンフのまわりの山の頂にも冠雪がみられました。とうとう来たなぁ、という感じです。あっという間に秋が来て、あっという間に冬が来るんでしょうね。その前にできるだけ高い山に行っておきたいものです。
 今日(8月11日)は午前中曇っていたものの昼前から快晴に。天気が回復するとうずうずしてきて、地図を広げて近場の山で行っていない山を探し始めます。Mt.Coryはバンフから車で10分ほどのところにある2800mの山。スクランブリング・グレードはModerate。もう昼をまわっていたけど、まぁ何とかなるだろう、ということで行ってきました。


Mt.Cory 頂上への稜線

 簡単に説明するとトランスカナダハイウェイの方へ3本リッジがあり、その一番右を登ります。リッジに乗っていれば基本的に歩きです。急登ですがその分ぐんぐん標高は上がります。眺めの良い小ピーク、頂上へ向かう稜線を経て問題なく山頂に着きました。疲れが抜けきらずかなりくたびれましたが、遠く雪化粧したアシニボインも見ることができ満足です。雨後は空気が澄んでいます。
 
 さて、下りです。同ルートを下るのは退屈なので小ピークを来た方とは逆から巻いて下ることにしました。しかし、地図も読まずに安易に決めたばかりにその後どんどんはまってしまいました。まずはルーズなガリーを下り過ぎてなかなかリッジに戻ることができませんでした。途中でまずいと思い登り返してなんとかリッジについたもののまた適当に下ったために今度は逆のガリーに迷い込みました。リカバーしようと適当に細いリッジに上がり下ってゆくと今度はそのリッジが谷に落ちるように消滅。強制的にまたガリーに戻され、また別のリッジに上がります。そんなこんなでとうとう3本あるメインリッジの真ん中のリッジに乗ってしまいました。このリッジは傾斜があり、かなりの頻度でクライムダウンを強いられました。そのうち下れなくなるのでは、という不安にかられながらもひたすらクライムダウンを繰り返しているうちに、何とか平地に降り立つことが出来ました。すでに20時過ぎ、やや暗くなってきました。平地なのに数回躓いて転ぶほど精神的・肉体的に疲労してしまいました。
 近所の山とはいえ、人間の能力は限られているし、山は大きいものなのだ、と改めて思い知らされた午後でした。あと、やっぱり疲れがとれるように山に行くべきですね。ちょっと山に行き過ぎかしら?


Member : Jiro
Time: Parking Lot 13:50
/ Summit 17:00 / Parking Lot 20:30

Photo information:
Nikon D200+AT-X 124 PRO DX

土曜日, 8月 11, 2007

Mt.Victoria South Summit

やっとです!やっと。夏になってかれこれひと月半、なかなか行けなかったアルパインなピークに行けました。Lake Louiseの湖畔から目の前に氷河を戴いた姿でおなじみのMt.Victoriaへ行ってきました。
当初はLake Louise側からMt. Lefroyの下にあるやや危険度のあるアプローチを使ってAbbot Pass Hutへ行き、そして登頂という段取りを考えていましたが、そいつはリスキーだ、とパートナーの反対にあいあえなく反対側のLake O'haraからのアプローチを取ることになりました。こちらからだとバスの予約などがあり面倒なのですよ。でも、Abbot Passまでのアプローチに危険な場所もなく大多数の人はこちらからピークを目指しています。何となく人と同じなのが嫌なので、Lake Louiseから行くのがよかったのですが。
しかし、ひとつ誤算がありました。Abbot Pass Hutはカナダ山岳会のもつ小屋の中でも人気のある小屋で予約が二つしか取れませんでした。今回我々は3人パーティー(Yu, Makiko, Jiro)。誰かが脱落しなくてはいけません。誰でしょう?・・・僕でした。
といっても諦めたわけではなく、Hutに泊まらずに1000m下のキャンプ場からスタートすることにしました。やはり山はLight&Fast。よりシンプルに行くのがよろしいでしょう。3時間早く出てHutで他のメンバーと合流し登れば良いのです。

さて初日は夕方にのんびりとキャンプ場に行くだけ。あとのメンバーは既に朝のバスに乗りHutまでの歩きを済ませ夕食でも食べている頃でしょう。Lake O'haraの駐車場から専用バスに揺られてキャンプサイトに着くと早速夕食を作り、早々とテントの中で就寝です。しかし最盛期のキャンプ場はほとんど満員で周りの音が気になりなかなか寝付けませんでした。飲みすぎるとまずいなぁ、と思いながらウォッカを流し込んで無理やり眠りました。

起床 2:45。 出発 3:30。
曇りで星明りも月明かりもなく真っ暗です。本気で熊が恐いので3分おきに声を出したり、ストックを鳴らしたりしながら、ヘッドランプで照らされた足元だけを見て歩きます。ひと月前に仕事で歩いた道で助かりました。知らない道だと迷いかねないですからね。暗いせいか歩きに集中することができ、予定よりも30分早く2時間半ほどでAbbot Pass Hutに着きました。いつしか辺りは強風が吹き荒れています。Good Morninng!と軽快に小屋に入ったつもりでしたが、いきなりありえない時間に人が入ってきたので小屋で準備中の人々がやや引き気味だったように思います。


リッジに上がる前の岩場 / リッジ上から雪の状態を確認するJiro 遠くの水溜りはLake Louise

何はともあれメンバーと合流し風がやや弱くなった6時半頃小屋を出発しました。まずは稜線にあがるために岩場を登ってゆきます。人気のピークなだけに踏み跡がしっかりとありルートファインディングは楽です。しかし、ロッキー名物の浮石はいくらでもあり上にクライマーがいると緊張します。一度Yuの落とした石がMakikoに当たりかけて、僕は本気で”ああ、やってしまった!”と思ったほどでした。Yuが一人でルートファインディングをしながら登り、僕がMakikoをロープで確保しながら登るという変則的なスタイルで進みました。
稜線にあがると所々雪が出てきましたが、7月の猛暑でかなり雪が少なくあまり苦労することなく核心部Sickleもクリア。氷河の向こうに水溜りのように見えるLake Louiseと模型のようなChateau Lake Louiseが見えました。あとは細いリッジをひたすら歩き、11時頃ピークに到達しました。雪が少なく簡単に登れたとはいえロッキー初の11000er(11000feet以上のピークのこと)の登頂に、今にも降り出しそうな空とは裏腹に気持ちは浮かれ気味です。


Mt.Victoria South Summit にて 

下りは同ルートを下りました。しかし、リッジ歩きがほとんどな為、思った以上に時間が掛かってしまいました。結局Hutを経由してキャンプ場に着いたのは最終バスの30分前でした。久しぶりに10時間以上動いていましたが、仕事をしながら身体作りをしていたお陰で無理なく動けました。まだまだ行けそうな感じです。さて次はどこに行きましょうかね~。


Victoria Glacier と Lake Louise


Member : Jiro, Yu, Makiko
Time: Lake O'Hara Camp site 03:30
/ Abbot Pass Hut 5:50 / Abbot Pass Hut Leave 6:30 / Summit 11:00 / Abbot Pass Hut 15:40 / Lake O'Hara Camp site 17:45


Photo information:
By Makiko with Cannon Eos Kiss Digital

金曜日, 8月 03, 2007

Pilot Mountain

美しき下降ルート 左奥がPilot Mtn頂上岩壁

基本的にロッキーでは、山頂までトレイルが続いているという山というのは少ないんですね。登頂しようとするとハイキングではなくなってしまう山が多いからだと思うのだけど、かといってロープを使わないとどうしようもない、という山ばかりでもない。ロープは使わないけどバランスを取るために手を使う登山のことをスクランブリングと呼びます。ここカナディアンロッキーではこのスクランブリングがひとつの分野になっていて、僕けっこうこれが好きなんです。パートナーがいなくてもちょっと緊張感を味わいながら頂上まで登れるので、一人のときはスクランブリングに限りますね。

 バンフから少し北へ行ったところにあるPilot Mountainに行ってきました。ガイドブックによるとグレードはDifficult、標高差1500m。ハイウェイから良く見えるわりに結構険しい感じです。
 バンフから車で20分にあるRedearth Creekの駐車場からスタート。1時間ほどトレイルを歩いて、木々の隙間から見える地形を読んで、適当に当たりをつけたら藪の中へ。最初で間違うとリカバリーが面倒なので慎重にルートファインディングして行きました。中間部はロックバンドを避けながらガレ場登り。そして最後はちょっと緊張感のある頂上岩壁の弱点を縫ったスクランブリング。樹林帯、ガレ場、岩とメリハリのあるルートでとても充実しました。
 そして下降は西の谷へ。降りて行く斜面ではお花畑を見つけ、谷自体もとても静かで良い谷でした。濃く倒木の多い樹林帯のルートファインディングもなかなか良いものでした。

 登頂ルートも下山ルートも常にルートファインディングが楽しめるナイスな山。今まで登ったロッキーのスクランブリングピークの中でもOne of the BESTじゃないでしょうか。

Pilot Mtn.山頂にて Mt.Ballが良く見えた

Member : Jiro
Time: Redearth Creek
Parking Lot 08:00 / Summit 11:50 / Parking Lot 16:00

Photo information:

Ricoh GR-Digital

木曜日, 8月 02, 2007

True Grid (10a) - East End of Rundle

本当に久しぶりのマルチピッチのロッククライミング。肩を故障したり、カナダに来るための準備などで1年以上この手のことをやっていませんでした。しかし、肩も全快し、先日カナダに来て初めて5.12のルートを登ることができたので、もう復帰です。
手始めにキャンモアの町からすぐのEast End OF Rundle(要するにランドル山の東の端にある岩場)、通称EEORにあるスポーツルートTrue Gridにトライしました。岩は石灰岩、グレードは5ピッチ全て10aという愉快なルート。登り始めは石灰岩のスラブに恐怖感を感じたけれど、しばらくすると慣れて大胆に動けるようになりました。やはりマルチピッチのクライミングは充実感ありました。次はもっと長いルートに行こう。


TrueGrid最終ピッチをフォローするRei

Member : Jiro, Rei
Equipment : Quickdraw-16, 60m Single Rope×2(1本でラッペル可)
Time: Start 16:10 / Top 19:35 / Parking Lot 20:45

Photo information:

Ricoh GR-Digital

Cascade Mountain

バンフから見えるシンボル的な山のひとつ、カスケードマウンテン。毎日一回は見上げていたのでそろそろ登らないと。7月の仕事も終わったので行ってきました。
標高2998m。立山の剣岳と同じぐらいですね。日本の山はまだ隆起する可能性があるけど、こちらロッキーの山はとうの昔に隆起は終わり今はひたすら侵食が進み低く低くなって行くだけ。おしいけど3000mにはもうなれないわけです。
登山口はノーケイスキー場から。バンフから車で10分。近い。。
最初はひたすら樹林帯を歩きます。一度川に下りて、そこからは延々と続く大きなスイッチバック。蚊に追われるのでこの辺りはまったく立ち止まらずに2時間歩き通し。樹林帯を抜けてやっと休憩がとれました。今年の蚊はかなり最悪です。
一応スクランブリング(トレッキングとアルパインクライミングの中間、でもロープは使わない)ですが、しっかりとした踏み跡がありました。バンフからも良く見える頂上稜線を登り頂上へ。どこかで山火事でもあったのかちょっとスモーキーな風景でした。

頂上稜線から/Mount Rundle&Banff

Cascade Mountain 裏の顔

Time: Trailhead-Summit 3:00 / Summit - Trailhead 2:00

Photo information:
Ricoh GR-Digital