月曜日, 3月 23, 2009

3/21 "French Reality V, WI 6+, 145m" Stanley Head Wall

アシスタントロックガイド試験で一緒だったクリスから電話。

“明日何してる?アイスどう?OK、それじゃあFrench Reality行こう”

てな具合にFrench Realityというルートに行くことが即座に決定。このルートはStanley Headwallというアイスとミックスクライミングのハードルートが軒を連ねているいるところにある、まぁハードルートと呼ぶにふさわしいルート。はっきり言って自分のクライミング能力的には2年後ぐらいには登りたいなぁ、と思っていたルートです。クリスという奴はガイドを目指しているだけあって安全で、かつアイスとミックスにおいてはかなり困難なことも出来る奴なので、まぁ困ったら全部リードしてもらえるので気軽に行くことにしました。たまにはこういう風に連れて行ってもらって難易度の高いルートをフォローするのも楽しいかな、なんて思いまして。
右下からスタートして上の大きな氷を登る
French Reality V, WI 6+, 145m

ルート自体はとても傾斜が強く雪崩の危険はないのですが、そこにいくまでがちょっと神経を使いました。スキーを履いて1時間ハイクアップ後、時には腰まで潜る雪を掻き分けること2時間でやっと取り付きへ到着。取り付き周辺は雪崩れるとそのまま下のロックバンドをダイブしてしまうので注意。壁の基部をトラバースするときはロープを出して30mぐらいづつに打ってあるボルトにクリップして行きました。

壁の基部をトラバース中 はまって出られないの図

1pはほんの少しだけアイスのある凹角をロッククライミングで上がったあとに雪の乗ったスラブを左上する25m。グレードは5.7ぐらいですが最初の7mはプロテクションなしでランナウト。

1p目の上部のトラバース 雪が深いです

2pは傾斜の強いコーナーのミックス。出だしの8mがややランナウト気味で悪いです。グレードは5.8ぐらい。そこから先もコーナーをステミングやらなんやらで苦しい。途中から左のアイスに移るとあとは快適。約45m。

3p時々マッシュルームでオーバーハング気味になるアイスを30m登ったところにあるレッジでビレイ。WI5。ミックスピッチのあとのアイスピッチのなんと快適なことか!

3P目のアイスクライミング
いやーミックスと比べれば遥かに楽です

4p時間の都合で最終ピッチは登りませんでしたが、クリス曰くWI6+の40mぐらいだそうです。リードしたい?と言われましたが丁重にお断りしました。まだまだぼくには早いです。

こうやって自分より強いクライマーの後ろにくっついて登るということはここ数年では初めてのこと。ルートのクオリティーが高いこともあり、ミックスのピッチでは色々と勉強になりました。何よりも今の自分には出来ないことを見せられて、しかもそれをフォローさせてもらい大きなモチベーションになりましたね。強いクライマーの登りを見せてもらえるのは価値のあることです。それにしてもこういうクライミングを日常的にやれるようになる日が来るんでしょうか?身体能力以上に精神力と気力と氷と岩を読む力が必要みたいです。落ちたら必ず怪我するクライミングなので焦らずゆっくりとやっていきたいと思います。

金曜日, 3月 20, 2009

3/19 Rock Climbing "Mt.Yamnuska Forbidden Fruit 5.11b,280m"

ここ数日じりじりと気温が上がり今日はキャンモアで10℃にもなりました。バックカントリースキーもアイスも何となくやる気がでないので、季節を先取りしてMt.Yamnuskaで今年初のアルパインロッククライミングへ行って来ました。当初の目的のルートには雪が残っているようだったのでPlan BのForbidden Fruitというルートへ。10c、10c、11b、10cと傾斜もありなかなか手ごわい4ピッチを登り、ルートの中間にあるレッジに着いたところで14:30過ぎ。さてここからは11a、11a、11aと時間が掛かりそうな3ピッチ。うーん、時間的にちょっと微妙。行けば何とかなるとは分かっているけれどなぜか妙に体が疲れてしまったのでそこから敗退することにしました。

今日一日シヌークが吹き荒れ眼下にはすっかり雪が溶け地面と雪のまだら模様が出来ていました。太陽はさんさんと降り注ぐけど、風に吹かれているとやはり体が震えてきます。シヌークが吹いて気温が急に上がると体調を崩したり、気分的に欝になってしまう人がいるようですが、自分も今日はそんな感じだったのでしょうか。地面に降りてまだ新緑の芽吹いていないアスペンの森が風に吹かれざわざわと落ち着かない様子。暖かい陽気に春への期待を隠せぬ森のざわめきに聞こえ、自分もまた何となく落ち着かないようです。

木曜日, 3月 19, 2009

3/17 Ice Climbing "Marble Canyon"とHDR

底から見るMarble Canyon

最近はスキー熱が高まっていてアイスクライミングからはちょっと足が遠のいています。しかし、雪が降ったあとに高めの気温がやってきて、山は雪崩の危険が高め。どこで何をしようか迷うところです。ということで久しぶりにゲレンデ的なところでのアイスクライミング。トレーニングというか鈍ったアイス勘を取り戻したいところ。
行き先はマーブルキャニオン。ここはハイキングの仕事ので時間があまった時に軽く歩きに来たりするところです。トレイルと橋が深さ40m近くあるゴルジュの上に掛かっていて夏は上から覗き込むことしか出来ませんが、冬になる川床も氷結しアイスクライミングエリアに変わります。アプローチは5分とかなり近いですが、橋にロープを固定して35mほど懸垂下降してゴルジュの底に降ります。ここでは70mロープがマストです。最後には荷物を背負って登り返すのでさらにトレーニングになるという良いエリアです。

今日は自分たちの他にもうひとパーティーのみ。しかもその中の一人は、ひと月半ほど前にパートナーの淳也がハフナークリークというエリアで大墜落したときに、そばで登っていたLyleというクライマーでした。"No fall today, eh?"といきなり言われて思い出した次第。

傾斜の強いラインをリードするLyle 見た目グレード5

グレード4から5で30m強の大きな滝が二つあり、どちらも複数ラインが取れるので練習にはもってこいでした。あと何本もミックスクライミングルートもありますが、そちらは触っていないので不明。

最近気になっていたHDR(High Dynamic Range)画像というのを試してみました。撮影するときに同じ写真を露出を変えて5枚ほど撮ります。本当は画は完全に同じ、動きのないものでないといけないのですが三脚などなかったので手持ち。クライマーが静止しているときに連射しました。ものすごく現実離れした画像を作ったりもできますが、当面はいかに自然な画を作るかを試行錯誤してみたいですね。掲載している写真はすべて5枚の画像から生成したHDRイメージを16bitに落として適当にレタッチしたものです。こういうハイコントラストな場所には便利な技術ですね。

川床が開いていて下流にはいけない

木曜日, 3月 12, 2009

BC Ski "Mt. Field 2635m Ski Ascent"

昨日、おとといと極寒天気がやってきてしばらくおとなしくしていましたが、今日あたりからじわじわと常識的な気温になってきました。それでも夜中には-29℃のキャンモア。そういう日は朝からアイスクライミングに行ってビレイなどをしているのは馬鹿らしいを越えて苦痛です。なので今日は朝からせっせと体を動かすバックカントリースキーに繰り出しました。パートナーは最近一緒にアイスに行けていない淳也。

夏は車で入るタカカウロード 結構いい感じのクロカンコースでした

Mt.Fieldはハイカーにはあまり有名な山ではありませんが、ヨーホー国立公園の真ん中に位置する絶好の展望台。1280mの駐車場から5kmほど夏には観光客でにぎわうタカカウ滝への道路を歩きます。道を離れたら1300mの登り。気合を入れて出発!まぁ最初は途中までクロカン用に整備されている緩やかな道ですけどね。それにしても寒い!気温は-27℃くらいでしょうか。

出発15分後 新手の付けまつ毛完成

道路を離れたらクリーク沿いに進み、アバランチパス(雪崩の通り道)の左端をどんどん登ります。ラッセルが嫌なのでふみ跡を適当に歩いていたらアバランチパスのど真ん中を横断することになり、しかもゴルジュと化したクリークを渡ることができず標高差100mほど降りてから登り返しました。安易に踏み跡をたどるものではありませんね。反省。しかも、淳也のシールが完全にスキーから離れしばし応急処置。敗退が頭をよぎる。


時々脛まで潜るがロスタイムを補うために無心になって登ります。太陽の角度も上がりいつしか汗だく。なるべく木のそばを離れないように登るが次第に木々がまばらになりとうとう真っ白な斜面へ。頂上ブロックが次第に近づいてきて、どのルートで頂上稜線へ上がるか悩みじめる。頂上へ到るには一部急斜面を詰めなくてはいけませんがここがこのルートの核心部。雪崩にあうとしたらここの可能性が高く、自分の雪崩に関する限られた知識と観測でははっきりとどの程度安全なのか分からない。吹き溜まる地形、上のリッジにある雪庇、小さな雪崩の跡が二つ...。安全策を取ってダイレクトに上がるルートではなく少し急だけど頂上岩壁から離れた左の斜面に取り付きました。しかし取り付いてみると斜度30度ちょっと、やや膨らんだ斜面、厚めのウィンドスラブと砂糖のような層。はっきり言ってこっちの方が危なかったかも。

やや危険な感じのした斜面を登る淳也 結果的にはまぁまぁ安定していたけど


そして快適な滑降を予感させる最後の斜面を詰め、快晴の下Mt. Fieldの頂上へ到着。トランスカナダハイウェイ、Fieldの村、ヨーホー氷河、エメラルドレイク、そして山山山。風も穏やかで素晴らしい景色を堪能できました。

山頂からのパノラマ
左には西へ伸びるトランスカナダハイウェイ中央の山はWapta Mtn.
その右には東へ伸びるトランスカナダとMt.Stephen

さてと下り。

今回はいつもよりも望遠寄りのレンズを付けてきたので淳也のテレマークターンを撮影しながら下りました。頂上直下では脛の深さのクリーミーなパウダーが素 晴らしかった。中間部は体重で割れるウィンドクラストとパウダーのミックス。これは苦行以外のなにものでもない!樹林帯に戻ってからは再びパウダーとなり 時々小枝に引っかかれながらも楽しむことができました。

頂上直下斜面のクリーミーなパウダー

クラストしてきたぞ しかし頑張る淳也

このあたりから苦行が始まる 後ろにはWapta Mtn.

そしてタカカウロードに出てからは滑らない傾斜をひたすら歩いてカロリー消費。ひたすら歩いたりス ケーティングしていたのでややトランス状態で車に到着。登り6時間、下り2時間、標高差1435mをきっかり8時間で今日の活動を終了。程よい感じでした。

月曜日, 3月 09, 2009

お知らせ 『もっと高く!ロッククライミング×大展望ハイク』

所属しているヤムナスカマウンテンツアーズの新企画のお知らせ。

カナディアンロッキーと言えばハイキングというのはご周知の通りですが、ここキャンモアには沢山のクライマーが住んでいることから予想されるようにスポーツクライミングの岩場も沢山あります。そこでハイキングとクライミングのいいとこ取りなツアーを作りました。クライミングではキャンモア周辺からSonnie Trotterが5.14のトラッドルートを拓いたレイクルイーズ湖畔の『Back of the Lake』までカバーし
、ハイキングではよく踏まれたトレイルのその先へ一歩踏み込んだ大展望ハイクを盛り込みました。
カナディアンロッキーのクライミング。なぜかあまり有名じゃありませんがクオリティーは高いですよ。

ツアー日程は、
2009年6月6日~11日、7月26日~31日、8月11日~16日、9月1日~6日
詳しくは専門ホームページツアー行程の詳細
ヤムナスカブログをご覧ください。

日曜日, 3月 08, 2009

3/6 BC Ski "Mt.Hector 3394m Ski Ascent"

しばらく雪が降ったり急に暖かくなったりと不安定な天候が続いていましたが、やっと気温も下がり落ち着いてきました。ということで以前より行きたかったMt.Hectorへ行ってきました。パートナーはサンシャインスキー場でパトロールをやっているおなじみのユージ氏、そしてそのパト仲間のGuyとMartin。雪崩に関してはかなり経験のある人たちなので心強い。

スタートはHector Creekとアイスフィールドパークウェイの交差点から。気温は-25℃。最初に雪崩ハザードの高いところを通るのでこれは良い。足並みの揃ったパーティーなので適宜休憩を取りながらどんどん登ります。2時間で700mほど登りガリー状のエリアを抜け、次第にHector Glacierが近づいて来る。氷河に上がってからは左上気味に左のリッジを目指しリッジで休憩後は右上気味に頂上ブロックのコルを目指す。コルまで着くとかなりの風が吹きまくりやっとのことでスキーからクランポンに履き替え頂上ブロックをタイトロープで登りました。頂上到着が15:00ぐらい。7時間で標高差1600mを登ったのでまずまずのスピードでした。

30分ほどで樹林帯を抜けてガリーへ 最初の雪崩ハザード地帯

標高2400付近程よく積もった柔らかい雪

サブピークの斜面から落ちてきたサイズ1.5の雪崩

氷河左のリッジに上がったところ 標高3135m

頂上ブロックのコル 烈風にスキーが飛ばされそうでした

そして頂上へ 標高3394m

頂上にて 奥からYuji、Martin、Guy

そして待望のスキー。自分の細い板でも雪の跳ね返りを楽しめるような良質な雪。この冬で一番良いスキーでした。あー、楽しかった。時々休みつつもどんどん下りたった1時間半で1600mを下りました。スキーを脱ぐ場所もなく、道路手前の樹林帯も快適に滑ることができ、先々週に行ったMt.Wilsonとは対極をなすルートでしたね。


上からMartin、Jiro、そしてコルから延々と続くトラックににやける三人

勝手に11,000er北氷河3部作というのを考えていてMt. Hectorはその一つ。あと二つはMt.Joffre、Mt.Athabasca。今冬中に登り三部作を完成させたいところ。ちなみに11、000erというのはカナディアンロッキーにある11,000Feetを越える54座を指します。これからちょくちょくと雪が降るようなのでそろそろアイスからスキーにシフトして行こうかな。バムでも両方いっぺんにやるのは難しいみたいです。

Time/
Parking 8:00
2530m 10:00
3135m 13:00
Summit 15:00
Parking 17:10