毎年夏に行こうと思いつつも行けていなかったテンプル東稜。ハイウェイを走ると大きく見えてくるマウントテンプルから東へエレガントに落ちている稜線。形、大きさ、山そのもの、どれをとっても登る意欲を刺激してくる。8月下旬の悪天候から一変して最近の晴天がルート上の雪を溶かしグッドコンディションが到来。スコーミッシュから帰ってきたジュンヤを早速連れ出して登ってきました。
写真はモレーンレイク湖畔から撮ったもの。ルートの核心は中腹に立つBig Stepという壁。といってもプロテクションの良く取れる130mの5.7から5.6。むしろルートにバラエティを加える楽しいところ。本当の核心はルート前半(点線辺り)と後半(左へトラバース後)のルートファインディングでしょう。
☆ルート詳細
ルートはモレーンレイクから道路を2km戻ったアバランチパスからスタート。パスを詰めると自然と右にピナクルの立つガリーへと入ってゆく。それを最初の岩壁まで詰め、次にその岩壁を右にトラバース。最初のガリーを50mほど登り次のバンドへあがる。その後は左右に幾本か並ぶガリーのひとつを選び次のバンドへ。そのバンドからも同じようにまたガリーを選び次のバンドへ。ガリーはまだ続くが傾斜が増してくるのでそろそろ傾斜の落ちてきている稜線へあがる。ここまでが下部。ルートファインディング的には一番難しいところ。その後は稜線沿いに登りBig Stepへ。
Big Stepの内訳は5.7 25m、5.7 60m、スクランブル、5.6 50mといったところ。稜線の左側の弱点をついてゆく。ところどころにピトンがあり各ビレイは快適なテラスで取れる。クォーツァイトはホールドがしっかりしているのでアルパインブーツでも問題なく登ることができた。ただし濡れていると良く滑る岩なので怖いだろう。
そして再度稜線に戻りそれを忠実に辿ると左にBlack Towersへトラバースしてゆくバンドが近づいてくる。しかしバンド自体にたどり着くには目の前の石灰岩稜線を登らなくてはならない。左に巻きつつバンドまで上がれそうな気がするが右から巻いてなるべく稜線から離れないように登りバンドへ。岩質がクオーツァイトからシェール、石灰岩へ変わるところなので脆い岩がいやらしかった。
細かい浮石をガラガラ落としながらトラバースし雪解け水が流れるのガリー状のあたりでひとつ上のバンドへ上がる。Black Towersをいくらかやり過ごしExit Gullyを探す。いつくか上まで抜けるガリーがあるが自分たちはロープ無しで登れるガリーの中で一番左のものへ取り付いた。ガリーは雪崩や水で磨かれた階段状。時々ピトンが打ってあったがロープ無しで登る。ただし時々脆いブロックもあるので念入りにホールドを確かめながら登るほうが良い。
ガリーを抜けると待望の頂上氷河。氷河は頂上稜線を辿れば問題なし。時々小さなクレバスがあるが飛ぶか這うかして越えることができた。頂上にてノーマルルートと合流。あとはノーマルルートのガレを飛ぶように駆け下りセンチネルパス、ラーチバレー経由でモレーンレイクまで戻る。
登りは9時間(5:30-14:30)。下りは3時間(15:00-18:00)。下りは急いだが登りは写真を撮りながら、あと特にルートを間違えないようゆっくりと確認しながら登ったので標準からやや遅いぐらい。
☆感想
岩質はお世辞にも良いとは言えませんが、ぼくが今までカナディアンロッキーで登ったルートの中ではルート内容、ロケーション共にトップです。こんなに面白いルートがこんなにも近くにあることに改めて驚きました。いわゆるトポと相談しながら登るロッククライミングではなく、目の前の状況を見ながらルート選択に頭をひねり、ロープをつけるかつけないか迷い、ロープを使わないときはで軽い緊張感を感じながらどんどん登る。そうしてひたすら山の頂を目指す快感に酔いました。見慣れたモレーンレイク周辺のまた違った景色も楽しみの一つです。カナディアンロッキーに来たクライマーには是非ともお薦めしたい名ルートです。かつてFifty Classicsに選ばれただけありますね。
日曜日, 8月 23, 2009
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