月曜日, 2月 22, 2010

2/20 バンフセンターとクライミングジム

 去年の冬は諸事情あり働きたくても働けずひたすらクライミングか山スキーしてました。でも冬の活動っていうのは夏のクライミングのようなペースで続けることができなくて、寒すぎたり疲れたりした日は家に引きこもっていたような気がします。がしかし、今年の冬は違う。わたくし働いております(当たり前か…)。
 バンフにはThe Banff Centerという素晴らしい会社がありまして、そこのクライミングジムでインストラクター兼店番をしてます。基本的にはアーティストやミュージシャンを呼んで作品、パフォーマンスを発表してもらう場や創作活動の場を提供している大学のようなところです。このセンターを支える大きな柱はアートですが、他にMountain Cultureというもうひとつ大きな柱があり、この部門が日本でもお馴染みになってきたBanff Film & Book Festivalを主催してます。というわけでSally Bordenというレクリエーション施設には当然クライミングジムもあるというわけですね。大学のような場所なので図書館などもあり、自分は結構入り浸っています。そこで無数にあるアート関係の書籍の背表紙を眺めていると美術大学時代に一瞬戻ったような錯覚を覚えて何だかノスタルジックな気分になります。山カルチャーとアートが一体となった、自分にはとても居心地の良い場所です。氷と雪と寒さに疲れたあと週末はここで働きながら体力の回復を図っているわけですね。たまに仕事中に登りすぎてさらに疲れたりしてますが。

 ローカルの人へのクライミングジムの宣伝ですが、土日にはFunky Monkyというキッズコースをやってます。4歳のおサルから参加でき、土曜ならもれなく日本語イントラも付いてきます。まだ英語に慣れてないおサルをお持ちの親御さんいかがでしょうか?
 それから毎週金曜の夜にBanff Life主催、週一回四週間の初心者講習会もやってます。料金的にはかなりリーズナブルなのでこれを期にクライミングを始めてみませんか?次回は三月の第一金曜からです。
 そしてもうひとつローカルの方対象の特別グループレートがあります。基本的には同じ会社に勤めている方々が対象で会社のイベントもしくはみんなでクライミングに挑戦してチームビルディングしてみる、なんてときにいかがでしょうか。詳細は下の通りです。安全のことなどは全部スタッフにお任せコースとクライミングの基本を押さえて次回からは自分達でジムに来て楽しめるようになるコースです。通常料金の半額以下なのでかなりお得ですよ。

金曜日, 2月 19, 2010

2/16 BC Ski "Mt.Niblock 2976m"

▽立派な岩壁 ここに氷瀑が無数にあったらなぁ
 センチネルパス越えのルートですっかり消耗してしまったが、その帰りの車の中でガイド仲間のヒロと翌日のバックカントリースキーの打ち合わせ。さっきまで疲労困憊していたはずの妻O.J.も参戦表明をし(さっきまでつらくて泣いていたのに!?)、三人でレイクルイーズエリアのMt.Niblockへスキーアッセントすることになりました。家に帰るとすでに22時過ぎ。さくっと食べてさっさと寝て、翌朝は6時半集合で出発。
▽本日の仲間O.J.とヒロ 大陸分水嶺の前にて
 山頂までの標高差は約1400m、移動距離は14km。最初は線路沿いのクロカンコースを3km。大陸分水嶺からその名もDivide Creek沿いに森林へ突入。ルートは非常に分かりやすく、しかも行ってみるとしっかりとトレースが付いていたのでまったく問題なし。足はだるいが快調に高度を稼ぎ駐車場から約6時間でMt.NiblockとMt.Whyteのコルへ到着しました。コルから手前の標高差500mはモレーンを縫い少しだけ氷河を歩く。このセクションで疲れの残るO.J.がやや辛そうだったけどヒロの上手いペース配分で登りきりました。
▽モレーンを縫って氷河へ
▽コル手前 ガスってきてしまった
朝、青空が見えていた天気は11時ぐらいから下降線を辿り、コルに到着するときにはやや強い風と高曇りになっていました。O.J.はコルで待機しヒロと自分は頂上を往復。頂上ブロックは簡単なスクランブルとちょっとしたルートファインディングが必要。若干雲が掛かっているけど綺麗な景色でした。
▽コルから頂上へ
▽風が強いのでさっさと下ります
 コルから下降開始。雪の量は問題ないので登ってきたルート沿いを滑る。時々深く柔らかい雪があり楽しむことが出来た。樹林帯に入ったあとは幅に余裕のあるクリークを下る。かなり滑られているのでスキー場のコブ斜面を不規則にした感じ。怖いところはあるが楽しみながら下ることができました。そしてクロカンコースを3km戻り終了。今日は二日目だけど余裕のあったO.J.。次は少しレベルアップしてテントを担いでマルチデイBCスキーにでも行ってみようか。
▽快適な下り 雪は良かったり悪かったり
▽ミックスクライミング向きな壁を発見!
スキーは色々な場所の偵察も兼ねているのでこういう発見はうれしい
それにしても下りがほとんど滑りというのは楽で良い。昨日とは対照的な山行でした。時間は登り6時間、
下り2時間半。

木曜日, 2月 18, 2010

2/15 BC Ski "Sentinel Pass" 妻を鍛えるの巻

△センチネルパスへ最後の登り

 久しぶりに妻O.J.と二人でバックカントリースキー。というのも肩が痛いのでクライミングはしばし休憩中。代わりにしっかりと歩くバックカントリースキーへ繰り出し、下半身を鍛えておく。そして妻も鍛え、一緒にもっとバックカントリースキーに行けるようにする。というのが今回のコンセプト。

 行き先はレイクルイーズエリアのパラダイスバレー。谷の入り口付近にはMt.Templeの北壁、どんつきにはMt.Wenkchemna、Mt.Ringrose、Mt.Lefroyなどを眺めることができます。そしてあわよくば未登のラインなんかも見つかるかも。

 夏はモレーンレイクまで続く道も冬は閉鎖されクロカンのコースに変身。その道を2kmほど歩きパラダイスバレーへ。傾斜のない道をどんどん歩きます。正面にはSheol Mountain、左にはMt.Templeの北壁。しかし天気予報通りの雲でピークは見えませんでした。残念。この辺りでO.J.の足に靴擦れ。買ったばかりのBDのShiva。いまいち合ってない様子。テープでホットスポットをカバーして応急処置。靴擦れになるのは自分のせいだろ、と言ったらキレられてしばし無言で歩きました。喧嘩はつまらない。

▽Mt.Temple北壁 セラックの色が映るのか雲が青くなっている
▽パラダイスバレー源頭
▽センチネルパスへの登り
▽やられている様子のO.J.
 ここまでで標高差900m、距離13km
 センチネルパスに近づいてきたところでクリーク沿いを離れて登り開始。ちょっと視界が開けてパラダイスバレーの源頭氷河が見えました。ピークは見えず。まぁ仕方ない。グランドセンチネルという塔を右に見ながらセンチネルパスへの向かいます。しかし雪が少ないなぁ。同ルート下降も考えていたけど滑れない上にパラダイスバレーはほとんど歩きなので却下。パスの反対側モレーンレイク経由に決定。
 登りがきつくなり岩の出始めたところからは板を脱いでつぼ足。岩と岩の隙間に足が取られ結構むかつきます。O.J.のスキーは明らかに重いのでここからパスまではかなりの苦行。自分で荷物を持つと言い張るのでゆっくりと登りそんな苦しむ姿を眺めては写真を撮ってました。そしてやっとのことでセンチネルパスへ到着!そしてO.J.号泣!よく頑張ったのう、と褒めてあげました。冬のテンピークス、ラーチバレーが美しい。傾きかけた日の淡い光が素敵でした。夏の景色も格別だけど冬のこの場所はまさにマジカル。しかし時は16:30。あまりのんびりもしていられない。早く降らなくては。
▽テンピークスが見えたぁと喜び泣くO.J. 泣くなよ…
▽ラーチバレー側の雪量はなかなかのもの
 ハードクラストと露岩をやり過ごし、ラーチバレーのパウダーとラッセルを楽しみ、夏道のスイッチバックのローラーコースターでエキサイトし、雪に覆われたモレーンレイクへ。ここからは道路を2kmほど登り返してクロカンコースへ合流。しかし下りと思いきや大して傾斜がなく板が滑らん。真っ暗な中とぼとぼと歩きました。O.J.は靴擦れに加えつま先の痛みでもはや限界。でも荷物は自分で持つと言い張るので、そのまま続行。何にせよ歩くしかないのです。モレーンレイクロード11kmは長い。しかし終盤は若干斜度が出てきてやや楽に。20:30にようやく車に到着。やや遅れて痛みと疲労に耐えたO.J.選手もゴール!そして号泣。そんなO.J.をハグしながら、最近泣くほど辛いことしてないなぁとわが身を振り返る。スキーで足が痛いのは本当に辛いからね。よく頑張りました。車に乗ったらガソリンスタンドへ直行してコーラとホットチョコレートで乾杯。コーラが沁みる。

 標高差900m、移動距離約30km、11時間行動。妻を鍛えるはずが自分も鍛えられました。ふー疲れた。

月曜日, 2月 15, 2010

2/14 カナディアンロッキー ウィンタークライミング情報

 現在発売中の岳人2月号に昨冬に行われたワプタトラバースの取材のレポートが掲載されました。自分も一緒についていったのでちょこちょこと登場してます。比較的楽なアプローチ、よく整備された小屋、広大な氷原、そしてパウダースノー。カナディアンロッキー版オートルートなんて言われたりしますが、ワイルドさではなかなかのものです。ご興味のある方はぜひご覧ください。

 そしてその記事の最後のページにおまけのようにカナディアンロッキーのウィンタークライミングについて書いたのでそれの補足もしておきたいと思います。ちょうどコメントで質問をいただいたのでそれにお答えする感じですが。(あまりコメントがないもので大して読まれてないと思ってましたが、読んでくれている方もいるんですね。嬉しいものです)

 まずはガイドブックについて。

ロッキーの冬クライミングに欠かせないのはこの二冊。
 大きな山のルートを狙わなければこの二冊で大抵のアイスクライミングとミクストクライミングは足ります。しかし、どちらの本もやや古い。Waterfallのほうは出てから8年も経っていてすでに絶版。去年からキャンモア周辺では入手困難になっています。5th Editionが出る出ると言われながらも出る気配があまりありません。もし日本で見つけたら買ってから来ることをお薦めします。Mixedの方はまだキャンモアでも買えます。

 前述したように二冊ともやや情報が古くなっていますが、それを補ってくれる情報サイトがWill Gaddさん運営のGRAVSPORTS-ICE。下のほうに2006/2007シーズンからの新ルート情報も保管されているのでこちらも参考になります。アカウントを作れば自分で情報を投稿したり、質問を投げたり、パートナーを捜すこともできます。

 壁だけではなく山も視野に入れているならこちらのガイドブック。

 出版されてから10年以上経っているけれどこれが唯一のアルパインクライミングのルートブックです(他に11000feet以上の山だけを扱った本もありますが…)。こちらも新しいエディションが出る出ると言われながらも全然出ません。とはいえ網羅してますので気になる山のことは何かしら書いてあるはずです。
 
 ちなみに今発売中の『Alpinist29』のMountain ProfileはMt.Robson。表紙の氷はGhostエリアのWicked Wandaというルートでした。情報が新しく写真も素晴らしい。


 最後に地図のこと。 
 ハイキングトレイルなどの情報が必要なときは『GEM TREK』の地図を使用してます。こちらはカルガリー、キャンモア、バンフの本屋、アウトドアショップで買うことができます。そしてカナダにも日本の国土地理院のようなものがあり、電子トポマップを提供してくれています。『The Atlas of Canada』。妙にダウンロードが遅いような気がしますが紙ヴァージョンが手に入らないとき、ちょっと一部分だけ必要なんてときに重宝してます。カナダ全土をカバーしているあたりはすごい。

 

 情報のない山を登るのも情報を漁って情報がないことを確認する時代。情報って大切です。

日曜日, 2月 14, 2010

2/11 Sorcerer-Hydrophobia Linkup

▽左)The Sorcerer 右)Hydrophobia
 キャンモアの北東、ゴーストエリアの超クラシックルート“The Sorcerer 210m WI5”と“Hydrophobia 150m WI5+”のリンクアップに挑戦してきました。今回のルートはアシスタントロックの試験で一緒だった、今ではあっという間にアシスタントアルパインガイドになりばりばり仕事しているKris(クリスのブログ)。そしてジャンボとワシントン州から来ているRobが組んで同じリンクアップを逆から登ることになりました。

 このリンクアップの最大の核心は車での走行。1時間半普通の道を走った後さらに1時間半林道および凍った川、凍った沼地、荒れた雪道を走りました。Krisが最近買った4×4が大活躍しHydrophobiaの見える場所まで辿り着くことができた。よかったよかった。

▽Waiparous周辺の地図
自分たちは時計回り、ジャンボ&Robは反時計回り

 そして8:15に二パーティーに分かれてスタート。自分&KrisはThe Sorcererから、ジャンボ&RobはHydroへ。第二の核心はThe Sorcererまでのハイクイン。すぐに踏み跡がなくなったので渡渉したり薮こぎしたりしながら歩きます。いくつかあるふみ跡に惑わされ迷いながら約2時間でThe Sorcererに到着。すぐにクライミング開始。

▽3ピッチ目 おーなかなかの高度感
 ▽雪庇をかわしてゆくKris
 下部は簡単なWI3-4の氷。かなり登られた跡(アイスアックスの穴)がそこらじゅうにありかなり簡単。上部のWI5の部分もアックスを打ち込まなくてもすでに穴が開いているので高度感と斜度を楽しみながら駆け上がるように登ることができました。最後に雪庇を交わしながらスラブに乗った不安定な雪を登るのが核心でした。雪庇の後は岩にボルトがありそこからビレイ。これは便利。12:40に終了。

▽左にDevils Head 右下にちらりとHydroの上部が見える
 ちょっと食べて飲んだあとはHydrophobiaの終了点まで歩く。丘を越えるとカルガリーからバンフ方面へドライブしているときに見えるDevils Headがすぐそこに。そしてHydroを登りSorcererへ向かうジャンボとRobも見えました。特にトリッキーな箇所もなくすんなりとHydroへ到着。傾斜のない氷を2回懸垂下降するとすでにセットされているアバラコフに到着。そこから3回の長い懸垂下降でルート取り付きへ。降りながら氷を見ると乾いているし、かなりのグッドコンディション。これは楽しくなりそうだ。

▽1ピッチ目のKris、そして最後のピッチをリードする自分
  背後にはCryophobiaというミックスクライミングルート 
 15:00からクライミング開始。自分が最初のWI3とWI4部分を同時登攀も交えて70m。そして傾斜の上がってきたWI5のピッチをKris。登られていないラインを登ったので氷が本当に美しい。透明感があり、気温が高いおかげでピックの吸い付きも良い。信用できる氷なのでスピードも上がり傾斜あってもクライミングがとても楽しい。最後のWI5の40mを自分が登りクライミング終了。17:30に下降も終わりあとは車まで戻るだけ。

 Hydroから車までは30分ぐらいの歩き。ありがたいことにSorcererと比べるとかなりお気楽なトレイルだった。ジャンボとRobはきっとSorcererからのハイクアウトで苦労しているだろう、と思っていたら車の手前5分のところで森をぐるぐる回っていたジャンボとRobにばったり遭遇。結構迷っていた様子。まったく同時刻に車に到着でした。本日の行動時間は約10時間。クライミング良し、歩き良し、気温良し、車の走行良しと出来過ぎた一日でした。
 

金曜日, 2月 12, 2010

2/8 Call of the Curtain 敗退

▽Curtain Callの氷瀑
 Polar Circusというカナディアンロッキーを代表する長いアイスクライミングルートを目指しました。朝5時半に出発し車で走ること2時間と少し。やっと駐車場に到着するとそこにはすでに車が二台。一台は空、もう一台ではクライミングの準備中。さすがアプローチが近く見栄えのするルート。2パーティーの下を登るのは危険なので、プラン変更して“Call of the Curtain M7 WI6 120m”へ向かいました。ありがたいことにこちらのルートに先行パーティーはおらず、40分ほどのアプローチを経てクライミング開始。核心の岩のルーフから氷のルーフを越えるピッチはジャンボの担当となったので、その前の氷のピッチを自分がリード。
▽核心ピッチのビレイ点 かなりの高度感
▽トラバースをしてから目の前の氷のルーフを越えるのだが…
 形状が複雑で場合によってはWI6にもなりえるような気がするけど、本日のコンディションではかなり簡単。3Dなクライミングを楽しんで核心ピッチへ。大きく張り出したルーフの下を5,6メートル狭いムーブでトラバース、そしていよいよ氷のルーフへ。しかし氷のルーフは綺麗に氷柱が落ちているためまったく足に使える部分がない。しかも発達が良く薄いところでも2メートルは幅がある。この部分はかなりランナウトになるためもし落ちると手前の今にも落ちそうな巨大つららに激突し、それも一緒に崩壊する可能性大。かなり迷った末ジャンボの決断でリスクは犯さずにそこら敗退しました。一瞬自分もトライしてみようかと思ったけど、あまりの高度感と落ちそうな巨大つららが恐ろしいので辞めておきました。

▽ ?

 とても穏やかな天気で山々が美しい。時間も沢山あるのでのんびりとドライブしながら帰途に着きました。まぁたまにはこんな日もあるってもんです。それにして前日にクライミングジムで痛めた右肩が痛い。あのピッチをトライしないで良かった。

土曜日, 2月 06, 2010

2/5 焼け跡と光と影と

 先日、“ジローのブログはクライミングか本のことしか書いてないなー”と言われたのでたまには違うネタで。クートニー国立公園の山火事跡には黒こげになった木々が沢山立っている。夏でもその景観は変わっているが、冬の雪と低い日差しにさらされるとさらにその異様さが際立つ。寒いビレイ中に対岸を見下ろすとそんなつかの間のショーが展開されていた。

2/4 未踏のラインを求めて

 ジャンボが目をつけ、先日偵察へ行ってきたピークへ行ってきました。結果は最初のピッチが非常に手ごわく、途中でプラン変更しました。登られた形跡のあるメインガリーを稜線まで抜け、そこからよく分からないけど降りれそうな隣の隣のガリーを下降。考えていたラインはちらっと見ただけでしたが、14時間行動でとても充実感のある一日。情報がまったくないというドキドキは何事にも変えがたいものでした。

▽最初のピッチを攻めるジャンボ 
 2時間ものあいだ雪と傾斜と悪いクライミングに耐えて完登
 最初のピッチは氷の詰まった垂直のガリー。しかし氷はすぐに雪の中に消え、あとはひたすら雪を崩しながらホールドとプロテクションを入れるクラックを探しながらの非常にストレニアスかつ難しいミクストクライミング(M7ぐらい)。雪くずしに疲れて下降した自分に変わり残りの核心部分をがんがん登ってゆくジャンボ。冬クライミングは身体運用、ルート取り、プロテクション、すべてにおいてクリエイティブでなくてはならないというお手本のようなクライミングでした。そして雪くずしに負けない体力も必要。さすがジャンボ。

▽その後はこんな感じの具合で稜線まで
▽しばしクライムダウンして下降ガリーへ 日が暮れてきた。。
 最初のピッチで4時間以上かかってしまったのでプラン変更しメインガリーをひたすら登ることに。3回ほど60mでピッチを切ったあとはひたすら雪の詰まったガリーをコンテニュアスで直登。4時過ぎに稜線に到着しました。最後はトンネルを抜け反対側の日当たりの良い側に出るというフィニッシュ。とても爽快でした。しかし、日没は間近。下降はしばしクライムダウンしたあと登ったガリーの隣のまた隣ガリーをクライムダウン&ラッペル。よく効いたピトン1枚でラッペルしたり、ナッツ一個でラッペルしたり、下の様子が分からなかったりと下降もエキサイティングでした。情報がないのは非常に楽しい!目的のラインには届かなかったけどアルパインクライミング感溢れる一日。満足満足。

▽West Bowl Peak(仮称) photo by ジャンボ
登ったのは肩へ抜ける一番目立つガリー
狙ったのはガリーから分かれて頂上へ抜ける浅いコーナー

木曜日, 2月 04, 2010

2/1-2 "Weeping Wall" and "Mixed Master"

 ▽“Weeping Wall Central Pillar 180m WI5+”と“Weeping Pillar 170m WI6”
下の氷瀑のほぼ真ん中を登り、さらに上の幅の狭い氷瀑の真ん中を登る
 今シーズン初のアイスフィールド・パークウェイ沿いでのアイス、ミクストクライミング。片道2時間以上かかるので今回はジャンボのバンにて車中泊をして二日間登ってきました。彼の車は座席を外して、居住空間が広くとってあるのでとても快適。車の中で寝て、起きて寝袋からでることなく朝食が取れるのです。さすが放浪仕様。

▽Weeping Wall Central Pillar 1st pitch
 肝心のクライミングはというと、まずは初日にローワーウォールの“Weeping Wall Central Pillar 180m WI5+”とアッパーウォールの“Weeping Pillar 170m WI6”。あわせると300mを越え、傾斜もだれることなく延々と続き、そして驚くべきことにアプローチが5分。まったく内容とアプローチの長さが釣り合っていない。素晴らしいことです。アッパーウォールは足の長いクラゲの集合したような部分がプロテクションが取りづらく核心的。しかしコンディション的には良い状態だったようでWI6はない感じでした。

▽Weeping Wall Central Pillar 2nd pitch
▽Weeping Pillar
▽Weeping Pillar 1st Pitch
▽Weeping Pillar 2nd pitch クラゲ状の氷がポイント

 翌日は“Mixed Master 300m 5.8 WI5”。夜はすることがないので12時間以上車の中で寝てしまった。Weeping Wallと同じ駐車場から歩き出し取り付きまでは15分掛からない。なんて素晴らしいアプローチ。ルート名の通り氷あり、岩ありのルート。核心は最終ピッチの細い氷。リードしながらアイススクリューが打てない、と焦るタイミングで残置のピトンが出てくるのでクライミングを楽しめる。本来なら無視して悪いアイススクリューでプロテクションとしたいところだけど、ついついクリップしてしまいました。弱いなぁ、おれ。何はともあれなかなか面白いルートでした。

▽3ピッチ目の岩セクション
▽4ピッチ目は簡単なガリーをアイスクライミング
▽最後はやや腐り気味なアイス


近いってのはいいことですよ。ほんとに。