日曜日, 4月 24, 2011

4/23 Polar Circus, Mt.Andromeda, 岳人そしてアラスカ


まとめて近況をアップです。

Polar Circus
行こう行こうと思っていてなかなか行けなかったポーラーサーカスという超クラシックアイスクライム。行けなかった理由は毎回駐車場へ着くと先行パーティーがいたから。今回は貸切でした。超クラシックなだけに素晴らしいロケーションと長い氷でした。


Mt.Andromeda, Asteroid Alley
翌々日にMt.Andromedaにあるアステロイド・アレーというアルパインルートへ。核心の60mチムニー(上の写真)よりも中途半端に雪の乗った前後ピッチが奮闘的でした。舐めて9時過ぎに駐車場を出発したので駐車場に戻ってきたのは夜中の12時過ぎ。さらに途中の仮眠×2を挟んで家に着いたのが朝四時でした。


岳人5月号

岳人5月号のヤングクライマーズ・コラムに文章と写真を載せてもらってます。撮影地はコロンビア氷原。今でもあの朝の素晴らしい光と風景を思い出します。マイナス25度くらいで非常に寒かったなぁ。


そして明日からアラスカへ行ってきます。
6月第一週まで更新はストップしますが、皆様良い春をお過ごしください。


土曜日, 4月 16, 2011

4/15 ピオレドール - Spirit of Alpinism -

 去年の冬は楽しかった(今年も楽しんでいるけど)。というのも日本からジャンボやこれから一緒にアラスカにいくJNYがやってきて、沢山の良い経験と沢山のモチベーションをもらえたから。春になりジャンボと岡田さんはローガンで南東壁の初登をし、そしてまたぼくはそこから感動とモチベーションと言いようのない高揚感をもらった。彼らの登攀はピオレドールという優れたアルパインクライミングの実践者に送られる賞にノミネートされていたのだけど、今日彼らがピオレドールを受賞したというニュースをAlpinistのサイトで知った。クライミングに順番をつけるようだと批判される側面もあるけど、アルパインクライミングの真の価値、本来あるべき姿を考え、それを称えるにはいい場なのだと思う。ちなみに彼らの受賞に対する審査員からの見解は、
For Okada and Yokoyama, the jury felt that the amount of work the team spent preparing and executing the massive climb was truly in the spirit of alpinism.
だそうです。

 何はともあれ賞をもらうということは素晴らしいことなんだよ、と誰かが言っていたけど、自分も単純にそう思う。ジャンボ、岡田さん、おめでとう!

金曜日, 4月 15, 2011

04/11 たぶん初登

 去年滞在していたジャンボの見つけたエリア。そこで短い氷のルートを登りました。完全な状態だとだいたい150mぐらいの氷ですが、残念ながら上の部分の氷が崩壊して登ることができませんでした。その部分を登ってこのラインは完成するはず。なので、また来年トライしに来ようと思います。完全な氷になれば必ずWI6 R/X部分が20mは続くルートになるはず。日帰りで行ったので隣のルートは登れませんでした。スキーを使っても片道6時間のアプローチはこたえます。

 
 写真中央の壁の途中で切れている二本の氷の左が登ったルート。もしかして岩をドライツーリングして上部の氷へ移れるかと思い、ロックギアを運びましたがぼろぼろの岩の巨大なオーバーハングに阻まれました。それにしてもこのエリア、可能性は無限にある模様。ただ雪崩には要注意。風が強く一日中チリ雪崩が壁のいたるところを流れ、帰り際には“あるライン”をでかい雪崩が一掃してゆきました。手付かずで、強い覚悟を要求される場所がこんな近くにあったとは。教えてくれたジャンボに感謝。来年はこのエリアに魂を捧げよう。

木曜日, 4月 07, 2011

03/04.05 Late season Ice


 だいぶ暖かくなってきました。キャンモアで夜はマイナス5℃、昼間はプラス5℃ぐらいです。標高の低い場所にあるアイスは次第に細くなり、壁から離れ、何も考えないで取り付くと危険な状態になってきました。そんな中この二日間はシーズン最後であろう、アイスクライミングを楽しんできました。

初日はマーブルキャニオン。

ロープが見えないけどTR中の自分

夏は渓谷の上に付けられたトレイルから深く削られた渓谷を見下ろすところですが、冬はアイスクライミングが可能になります。氷の長さは約30m。そばにWill Gaddがいてバックパックに氷を詰めトレーニングしていたので、それに習い自分もウェイトを背負い、トップロープで何度も登っていたら前腕が爆発しそうになりました。かよさんと妻O.J.も奮闘していました。最後は荷物を背負って登り返すので、さらに良いトレーニングになります。

TRするO.J.

 次の日はストームクリークのヘッドウォール。

Xenaは真ん中の細いガリーの氷

 前回登りに来て目についたXena(WI4, M5 100m)が目当て。3時間のアプローチは明らかに長いですが、この日のパートナーは初めて会って、初めて一緒に登るカーター君。この冬はキャンモアでバムっていたようだけど、なかなか一緒に登る機会がなかったので色々としゃべくりながらのんびり歩きました。ルートはかなり終わりな状態(細く、薄く、岩から浮いている)でなかなか奮闘的でした。1p目でカーター君が氷がやばそうということで途中で下降、自分が代わり、やや危ないかと思いつつも、何とかプロテクションの取れるクラックに届いたのでそのまま続行しました。短いですが非常に良いルートでした。両隣のルートは氷が消滅しつつあり、そこまでハードコアな気分じゃなかったのでスキーを楽しみつつ、帰りました。

一日雪が降ったり止んだり。
今年の冬は本当に良く降ります。

日曜日, 4月 03, 2011

03/11 「被災地にクライマーを送ろう」という活動

 日本にいる自分のクライミングの師匠が「被災地にクライマーを送ろう」という活動をしています。クライマー・山屋が現地でボランティアをし、そのための資金を仲間のクライマー・山屋が支援する、という非常に分かりやすい構造の活動であるところがポイント。何百万、何千万というお金を集められる仕組みではないけれど、意思ある者が動いて、それを意思と資金のある仲間がサポートするというシステムは、とても直感的ですんなりと理解できます。日本で一緒に登っていた仲間が手弁当で被災地に向かっていることを思うと、カナダにいて自分にできることをしたいと素直に思えます。クライミングで繋がることの強さってあるんだ、と感じます。すでに第1陣、第2陣は戻り、今後も支援を続けてゆくそうです。

 以下に調整役をやってくれている角屋さんからの活動趣旨を引用します。そして被災地で作業をしてきた水野さんからの短い報告と写真です。

「被災地にクライマーを送ろう」という活動をしています。わしの知り合いの範囲内で始めた運動ですが、ありがたいことに「知り合いの知り合い」とか多くの方から問い合わせが来るようになりました。そいう方には直接内容をお話していないので、今日から毎日、事前に知っておくべきことを掲載させていただきます。

1.「ボランティア」とは:「ボラント」という語源が示す通り、「意志」で行う行動です。ボランティアは自分の「善意」という意志のもとに行う活動です。ですから「かえりみ」を期待しないものであり、時間的、労働力的、経済的犠牲を払うことも心得ていなくてはなりません。しかし、我々の場合、「意志と時間と体力はあるがお金がない」というクライマーを被災地に送るため、「行きたいけど行けない。でもお金ならちょっと出せる」というクライマーが、交通費の一部を支援する形をとっています。資金的な援助も立派なボランティアです。

2.今回の活動形態全国各地にYMCA(キリスト教青年会)という組織が独立して存在します。今回の現場である宮古市の近くには、盛岡YMCAがあります。全国のYMCAを横につなぐためのYMCA同盟というのが東京の四ツ谷にあります.盛岡YMCAは宮古を拠点に震災ボランティアの活動を始めますが、YMCA同盟の直接的支援と調整により、もと私の職場であった横浜YMCAもその支援に当たることになりました。そこで「被災地で自活して働けるボランティアとして、クライマーや山屋の協力が得られないか」と話があったのです。ですから、今回我々はYMCAの活動をお手伝いする立場で働きます。

3.なぜクライマーを送るのか:自然災害の被災地というのは、水、電気、ガスなどのライフラインが止まってしまったところが多いのです。そういうところにボランティア拠点を立ち上げるためには、まずそういう環境で自活できる能力があることが第1条件になります。ある程度ライフラインが整ってきても、一般ボランティアの中には自分の身の回りのことを自分でできなくて、かえって現地の迷惑になってしまうものも多くいます。その1点において、クライマーや山屋は心配ありません。ですから、今はクライマーを現地に送るのです。クライマーはほかにも被災地で役に立ちそうな技能を持ち合わせていることと思います。しかし、最初の段階ではそういう作業は自衛隊や、消防のレスキュー隊が受け持ちます。ですから、作業自体は「一般ボランティアでもできるのではないか」と思われる地味な仕事です。しかし、そこで生活しながら、ということを考えると、やっぱり我々クライマーでないと務まらないのです。

4.ボランティア拠点の立ち上げ作業とは:一つは「物理的な整備」、つまり土木作業です。一般ボランティアが入れる施設を整備する作業です。泥だらけになり、服はボロボロになるかもしれません。二つ目は「聞き取り調査」です。地元のニーズを探り、これからどんな支援が必要なのかを探る作業です。しかし、この作業にはもう一つ大切な目的があります。それは地元に信頼され、受け入れられるためのコミュニケーションなのです。「聞き取り調査」とは微妙な作業で、あまり力んでニーズを探ることだけに一生懸命になると、被災者の方からうるさがられることもあるようです。でも相手だっていろいろ聞いてほしいことだってあるはずなのです。そんなことを聴いているうちに、本当にその人が必要としていることも聴きだせるのではないかと思います。


「どんなボランティアが望ましいか」と書きましたが、必須条件というのもあります。そのうえで「望ましい」ことも加えられます。以下に書くことは、私の知識ではなく、今回一生懸命勉強して得たこと、または今回の参加者から得たもので、何かの資料のコピーも含まれるかもしれませんが、どうぞ確認してください。

自活できること:これは必須条件です。被災地では救援物資もままならない状態だと考えたほうがよいでしょう。「行けば食料や寝るところは与えられる」と考えていくと大間違いです。そういうことで現地を頼ると、現地では大変なお荷物になってしまいます。しかし、我々の活動拠点では、今現在、クライマーや山屋にとっては、山の生活を考えればむしろ「快適」と言えるほど整備されてきたそうです。第1陣、第2陣に感謝します。

被災者の目線で見ることができるということ:被災者にとっては被災地は「わが町、わが故郷」、我々にとってみればごみの山に見えても「かけがえのないもの」、被災者は単なる「被災者」ではなく、ひとりひとりバックボーンの違う「個人」です。その人と同じ目線でみて、感じ取ることができることが大切です。

協調性が大切:被災者に対しても共に働く者に対しても、協調性が大切です。勝手な行動、自分の考えの押しつけ、相手を否定するような言動は被災地で受け入れられないとともに、一緒に働く者を傷つけたり、気持ちよく働ける環境を無くすことになります。

精神的にタフであれ:といっても、いまさら性格は変えられないかもしれません。1週間も非日常生活を続けていると、誰でも多少は普段の精神状態とは違ってきます。しかも被災地の現状を目の当たりにしながら、初めてあった人たちと過していれば、そうなるのも不思議ではありません。じわじわと自分の精神状態がくるってくることは、多くの災害ボランティア経験者が語るところです。真面目な性格の人は特にそうなりやすいようです。「小さいことは気にするな」。とはいえ被災者に対しては細かい気配りが必要です。しかし、共に働く仲間に多少気になることがあっても、少しぐらいボランティアの組織がうまくいってなくても、「小さいことは気にするな」ということです。誤解を恐れずいうと、我々が目いっぱいがんばったところで、それは被災地が完全復興するまでのエネルギーからすれば何万分の1です。もちろん頑張るのですが、頑張りすぎて自分の精神状態がおかしくなってしまっては、出せるエネルギーも半減してしまうし、「良かれ」と思って発言しても、いらいらしながら発言するのは、かえって混乱を引き起こすことになります。おおらかさも必要です。

復興の主役は被災者自信:復興させなくてはいけないのは、被災者の町、被災者の生活です。我々はそれを支援するのです。あくまでも我々は支援者であり脇役です。主役は被災者本人です。そういう気持ちが必要です。

災害ボランティアのベテランはいない:といっても本当はいるかもしれません。しかし、こんな災害は人生の中で何度もあるものではありません。だから拠点のコーディネーターにしても、初めての仕事かもしれませんし、経験者出合っても、それほど現場を経験できるものではありません。だから皆手探りでやらなければならないのです。皆で作り上げていくのです。人の指示を待っていてもやるべきことは生まれません。自分で探し、自分で考え、そして皆で話し合うことが大切です


以下は水野さんが送ってくれた現地の様子です。
“まずは道路の両側に瓦礫が見え始めます。最初は家々は普通に建っております。それが徐々に崩れていき、廃墟の中に突入します。廃墟はやがて瓦礫の山に変わり、そして一線を境に更地になります。小さな集落ですといきなり瓦礫から始まります。瓦礫や更地の下にはおそらくまだ遺体があるかと推測されます。三陸沿岸を車で走ってきますとざっとこんな感じです。”

金曜日, 4月 01, 2011

3/29 BC Ski "Observation Sub peak”


 この冬、ロッキーは例年以上の積雪に恵まれ、非常に良いスキーシーズンです。でも、クライミングへの情熱は一際熱いのですが、反対に自分のスキーへの情熱の無さがよい一層はっきりとしたシーズンでもありました。で、まともなバックカントリースキーはこれが今シーズン一回目。
 ボウレイクからハイウェイを挟んだ東側のちょっとしたピークがオブザベーション・サブ・ピーク。頂上までは標高差1000m。Kris, Philというガイド連中と行ったので基本的にほとんど休憩せずに頂上まで行きました。そこから反対側の氷河へ滑る予定でしたが、あいにくの強風と悪い視界。尾根をハイウェイの方角へしばし下りそこから滑ります。雪はブーツちょい上ぐらいのパウダー。太陽が全然出ていなかったので最高の雪質でした。最後はややタイトになる樹林帯を抜けて車を止めた場所から100mぐらいのところへ出てきました。スタート9:00、戻ってきたのが13:30。たまにはスキーもいいもんだなぁと思った次第です。新調したDynafit ManasluとVertical STのセット。なかなか使えます。

頂上ではコーニスの下で休憩
雪を投げると途中で見えなくなるぐらいの視界でした

しばし、尾根を下り右側の谷へ滑り込んだ