水曜日, 12月 26, 2007

Merry Christmas from Whitehorse

ユタとアリゾナのクライミングレポートも終わったので日常に戻りますよ。

ただいまカナダはユーコン準州・ホワイトホースにいます。珍しいことに働いています。しかも結構忙しいです。

ホワイトホース。ユーコン準州の州都。北緯60°。ロシアのモスクワよりも緯度が高く、日本の近くでいうとカムチャッカ半島の付け根あたりになります。
ここホワイトホースは、大変遺憾なことでありますが、ナンと!クライミングジムがないのです。というわけで、ぼくの前腕も肩も次第にしぼみ、きっともう5.10dぐらいでハーハーしてしまうでしょう。仕方ないのでトレーニングジムで汗を流し筋トレしてますが、やはりクライミングに代わる運動などないです。心と身体が乾いています。あー、岩!傾斜!登りたいっ!来年の2月末までこんな具合ですよ。やんなっちゃいますね。

まぁネガティブなことばかり言っていても仕方ないので、少しは目の保養になるものでクリスマスの挨拶に代えましょう。今日は25日。まるで日本の正月にように街は静まり返っています。日本のように馬鹿騒ぎがなくてほんとにいいもんです。そんな静かなホワイトホースをぐるっとジョギングをしました。-15℃ぐらいはジョギングに丁度良いようです。

さて明日からまた仕事が忙しくなってゆきます。師走を疾走中の皆様、メリークリスマス。


ある日のオーロラ 
舞う光に 北にいるということをいまさらながらに実感する
日本のあの人が余計に遠く感じる今日この頃


金曜日, 12月 21, 2007

-Trip Report 6- 写真など

掲載していなかった写真です。もっと撮っておけばよかった。いつもトリップ中は登ることと食べることばかり考えているので、なかなかカメラを持って写真に集中することができないですね。本当に撮りたかったら、実際登ってなんかいられないのでしょう。たまにはいいけど、やっぱり登らないとぼくは駄目です。


Mantle Illness
核心手前でレストするカンちゃん
細かいプロテクションの後の厳しいマントル
まさにIllness!



Cottonwood Camp Site の朝
秋の朝はなかなか日が当たらない
温かいコーヒーがおいしい時間




Jiro on King Cat
3回トライするも中間のワイドハンドで撃沈
3年越しの課題となりました また来年




Cat Wall に転がる大きな岩
あるときは快適な昼寝の場
あるときは撮影のための高台
よく見るといいカタチ




Caslton Tower & Rectory at Dusk
今回はCasltonだけだった
次回はこの二つの塔を継続すべし




そして、今回のトリップの仲間たち
Hさん、ひどい二日酔いだったのに
写真撮るときはしゃきっとしてるなあ

これでモアブとラスベガスを中心に行った秋のクライミングツアーのレポートはおしまい。今回一緒に登ったみんなありがとう。来年はヨセミテ、モアブ、ラスベガス 2ヶ月の旅なんてどうかな?ビッグウォールからスポーツクライミングまで、とにかく登り倒せれば最高だね。

期間 11月1日~11月28日
場所 インディアンクリークとレッドロックス、およびその周辺
走った距離 約6200Km
登ったピッチ数 約100ピッチぐらい(ショートルートも入れれば)
食べたポテトチップス 10袋ぐらい
ケンカした回数 4回ぐらい
ラスベガスで勝った金額 マイナスです
最高の瞬間 Caslton Tower のピーク
最低の瞬間 ラスベガスのバッフェで食べ過ぎて気持ち悪っくなったとき (吐きました…)



火曜日, 12月 11, 2007

-Trip Report 6- Resolution Arete 16時間のUp and Down


朝焼けのMount Wilson

Red Rocks のピークの中でもっとも高く、もっとも重量感があるMt.Wilson。道路から眺めた瞬間にこの山を登ることを考えていた。数多くのルートの中から選んだのはResolution Arete 2500feet 5.11d。ピッチ数では21~24ピッチになるこのルートは、Aeolian Wallと隣の壁を分けるリッジに取られている。最後までリッジをたどり自然にピークに至り、他のどのルートにも合流することはない。傾斜のあるリッジなので敗退は考えないほうがいいだろう。とにかく頂上目指して登り続けるのみである。


赤線がResolution Arete  黄線が下降したDogma

このルートこそ今回登ったルート中もっとも取り付きまでの下見が必要なルートだった。古いファルコンのトポではアプローチと下降のことがあまりよく分からなかったので、前日に最新のトポを手に入れることにした。しかし、もっとも分かりやすいと思われる写真と解説があったにも関わらず、取り付き発見はかなりてこずってしまった。これを真っ暗ななかオンサイトでこなすのは今の自分には不可能だろう。面倒くさがらずに行っておいてよかった。

この日は終日曇りで肌寒い一日だった。しかし、夜九時を過ぎる頃、見る見る内に雲が流れ明るい月が夜空に浮かんだ。たとえ暗くなってしまったとしても、きっと月明かりが助けてくれるだろう。人気のなくなってきたキャンプ場の夜は静かだった。ぼくとカンちゃんも長い一日に備えて早々に眠りについた。


Resolution Arete 1 pitch 右上にリードするカンちゃん

6時に取り付くため、朝4時に駐車場を出発した。まだ夜明けまで2時間ある。
Wilson Pimpleという丘の近くからトレイルを離れ踏み跡に入るのだが、どうもそれらしきものが見つからない。カンちゃんが積んだというケルンも見つからずいきなり迷い気味である。しばらく行ったり来たりしていたが、結局これだ、という場所が分からず、それっぽいかな~、ぐらいのところに入って行った。

それにしても暗い。壁は近づいてくるがどうもずれているような気がする。ぼくらが目指すのはメインガリーではなく、その隣にあるとても小さなガリーなのだが、見えるのはただの黒い塊である。とにかく登れるところまで登り、間違っていたら壁沿いをトラバースするしかないようだ。まるで見覚えのない風景である。見覚えがあるかもしれないが暗くてまったくそうは見えない。山のスカイラインと感じる地形から読むしかない。右往左往しながら何か分からないかと目を凝らしていると、踏み跡らしきものに当たった。何となく記憶している踏み跡のようなのでそれに頼って行くとさらに何となく見覚えのある傾斜。どうやら当たりらしい。ぐいぐい登って行くと見覚えのある小さなガリーに着くことができた。ここまで来ればあとは楽である。

予定よりも20分遅れで取り付きに着くことができた。もうすでに朝日が上がろうとしている。余分だと思われる水をがぶ飲みしてカンちゃんから登りだした。

3ピッチほどワイドクラックをたどりレッドバンドからホワイトバンドへ移ると最初の核心がやってきた。5.7Rだが感覚的には5.7Xではなかろうか。壊れてしまいそうなもろいホールドが続き、めったに取れないプロテクション。取れたとしてもかなりマージナル。カンちゃんの手に汗握るリードであった。

小ピナクルを回りこむ4thClassの後にもまた核心ピッチである。5.10の美しいコーナークラックを、これは快適そうだ、と思いながら登って行くと、だんだんと閉じてしまった。ところどころに極小ナッツを捻じ込んで登ってゆくと、これをつかまないと進めない、というバガが出てくる。しかし、これが今にも取れてしまいそうにヒビの入ったホールドなのだ。どう考えても使わざるを得ないのでRPをもう一つ捻じ込み覚悟を決めて突っ込んだ。ホールドは持ちこたえ、何とかフォールせず抜けることができたが、きっと白髪が2本ほど増えただろ。


終盤はチムニーが多い

次の核心は11dのコーナールーフに走るフィンガークラックだ。トポにはアンダークリングとあったが、どう考えてもフットホールドがなくできそうにない。しかし、フィンガージャムをしっかりと決められそうな部分を探り、さらにやや悪いパーミングを見つけ、ムーブのイメージをつかむことができた。カンちゃんに一声かけクラックにぶら下がる。ジャミングが決まり浮いた。そして出口のカチに手を伸ばした。そしてフィンガージャムを解除。がしかし、ここではまってしまった。手を次のホールドに飛ばすことができずフォール。この日唯一のフォールを喫してしまった。一発でムーブが解決できただけに、非常に残念である。

 最後の4thClassを笑顔で登ってくるカンちゃん

この核心ピッチを抜け、フェース部分を抜けると、あとはリッジを縫い、チムニーをつないでいくピッチが続いた。速度も上がり、快適なクライミングのあとは4thClassを数百メートル。そして午後2時20分。所要時間8時間でMt.Wilsonのピークへたどり着いた。ルートの終わりがピークという理想的なフィニッシュにぼくらは喜びの声を上げた。

Mt.Wilson 山頂にて(左)  頂上稜線から 赤いのはCalico Basin(右)

下降もシビアであった。歩いて降りる選択もあったが最新のトポにかなり質のよい写真が載っていたので、ぼくらは隣の壁のDogmaというルートを下降することにした。トポによると70mロープ1本で下降できるという。しかし、ルートのピッチ数は15ピッチ以上あり、森になっている途中の巨大リッジに降りた後のアンカー探しが難航しそうだ。すでに日が傾きかけ、大地に落ちた山の影が長く伸び始めていた。

上部は垂直壁のラッペルなので容易であったが、やはり森に下りた後で迷ってしまった。木に巻かれたアンカーを見つけるのに1時間近くかかり、下降を再開したときにはすでに日が落ちていた。ロープぎりぎりのピッチがあったり、末端10メートルの印を中間の印と間違えてあやうくカンちゃんが墜落しかけるなど、疲れる下降であった。


Dogmaの上部を懸垂中

ラッペルを15回以上繰り返しブッシュを掻き分け、結局夜中の20時30分に月夜のパーキングに到着した。下降とハイクアウトに5時間も掛かかり、結局Car To Carで16時間。クライミングトリップの最後を飾るには相応しい、総合力を試されるルートであった。

こうしてパーキングに着くと同時にぼくのクライミングトリップ、カンちゃんのヨセミテから始まりインディアンクリークを経由したクライミングトリップが終了した。車に入ったとたん汗が冷えて寒気がしてきた。いつしか秋も深まり、冬が近づいてきていたのだ。一路キャンプ場を目指し、あまった食材で手早く夕食を済ますと大して酒も飲まずにテントにもぐりこんだ。そして長い一日を振り返る間もなく眠りに落ちていった。

Reslution Areteは、アンカーも整備され、ボルトもふんだんに打ってあるEpinephrineとは実に対照的なルートである。ルート上で見たボルトは、腐った細いボルトが1本と新しいビレイ用のものが1本のみで、ビレイ点はすべて自分たちで作った。Epinephrineのようなルートがある一方Resolution Areteがある、このRed Rocksの多様さは実にいい。Epinephrineの整備された環境に物足りなさを感じた人は是非このルートを登ってほしい。岩のもろさやグレードを忘れられる何か。とても心満たされる何かを発見できるはずだ。今回のRed Rocksでもっともお薦めしたいルートである。

月曜日, 12月 10, 2007

-Trip Report 5- レッドロックス 中・長距離ルートの宝庫

レッドロックスでの目的は特に長いルートを登ることだったので、スポーツエリアには二日ほど足を運ぶに留まってしまった。しかしながら、Tsunami Wall では自分の上限グレードのAfter Shock 12bを3回で余力を残しながらレッドポイントするなど、片手間の割りには楽しむことができた。一緒にいったかんちゃんがそこそこ苦しみながらレッドポイントしていたので12bぐらいはあったと思う。


RED ROCKS: A CLIMBER'S GUIDE 
Written by Jerry Handren

個人的にはレッドロックスではロングルートをやるべし、と思っている。古いファルコンのトポを見ている人は、とりあえず最新のトポを見るといい。SuperTopoでは初級から中級、もしくは超人気ルートに偏ってロングルートが紹介されているが、このトポは包括的でありながら埋もれていた好ルートも掲載し、さらに登攀意欲をくすぐる優れた写真が満載なのだ。このトポを見たとき”来年も必ず来よう”と決心したのだが、このトポの写真で紹介されているルートはそれほど美しく、グレードも目標にするには良いものが揃っている。レッドロックスには素晴らしいロングルートがまだまだあるのだ。

Epinephrineの後に登ったルートはロングルートではないが、一応紹介しておこう。

Ginger Crack  5.9 7pitches

Power Falure  5.10 3pitches

Only The Good Die Young  5.11c 5pitches


Only The Good Die Young 2ndピッチをフォローするカンちゃん

Ginger Crack Power Falure は有名なCrimson Chrysalisのそばにあり、いつも混んでいるCrimson...とはうって変わって、大抵空いているようだ。Crimsonを登ったことがないのでなんともいえないが、混んでいる好ルートを登るのなら、人のいない良ルートを登ったほうがおもしろいと思うがどうだろう。ちなみにGingerもPowerも間違いなく好ルートである。しかも無理なく継続できるので、継続することをおすすめする。ただこのあたりのルートは日陰に入ってしまいほとんど日が当たらないので、秋に登るのなら防寒・防風対策を講じるべし。あまり準備をしないでGingerを登ったO.J.とぼくは終始鼻水をたらしながら登る羽目になってしまった。


Only The Good Die Young の 4p 11bc のトラバース

Only The Good Die Young いい奴ばかりが早死にしちまう…(こんな訳であってます?)、と何だか映画のせりふにあったような名前のルート。Black Velvet Wallの手前にあるWhisky Peakの北面にひっそりとある傾斜の強いルートである。日はまったく当たらず寒かったが、メインのクリークから隠れているので悪名高い強風が当たらず助かった。グレード的にちょっとO.J.には厳しいかと思い、このルートは今回の旅で出会ったカンちゃんと行くことにした。核心は2ピッチ目の11bのフェースと4ピッチ目のフェース11bc。2pをぼくがリードし、ちょっとムーブ探りでパンプしたがOS。4pの細かいトラバースをカンちゃんがきっちりとOSとした。無事全ピッチオンサイト。しかし、二人とも同じ感想だったが、4p目の11bcはちょっと甘すぎ。一、二手の核心なのであっても11aだろうか。もしかしたらリーチのない人には極端に難しくなるかもしれないけれど。


Only The Good Die Young の 4p の核心を抜けて

レッドロックス最終日の前日、ここまで一緒に旅をしてきたO.J.が飛行機で日本に帰っていった。初めてのクラックとジャミングをインディアンクリークで体験した幸せもの。たったの一週間で5.10のクラックをリードし、かつ豪快にフォール、そしていきなり10ピッチを越えるロングロートに付き合わされてしまった肝っ玉。文句ひとつ言わずOffwidthのフォローをしてくれてありがとう。感謝、感謝。来年のトリップまでお互い強くなろうね。

彼女を見送り、ぼくとカンちゃんは今トリップ最後の課題、Resolution Areteに挑むのであった。

日曜日, 12月 09, 2007

-Trip Report 4- Epinephrine もう一つ上へ


痛っ! レッドロックスのアプローチの要注意植物

晩秋の色濃いインディアンクリークを後にして、向かうはSin City・Las Vegasである。
マネーとエロスとエンターテイメント渦巻くダウンタウンから西に30分ほど車で走ると、我々の目指すレッドロックスが見えてくる。北から南へきれいに並んだいくつものピークがレッドロックスというエリアを構成し、そのピークを分けるいくつもの深いクリークが複雑なエリアを作りだしている。これが代表的な壁である!という極端に大きな壁はないが、いくつかの美しい壁が散在してる。Rainbow Wall, Black Velvet wall, Eagle Wallなどなど。なかにはアプローチに2時間から3時間かかるエリアもあり、時間の限られたぼくらはアプローチや下降なども考慮してルートを選ぶことになった。
しかし、来る前から決めていたルートがあった。それはEpinephrine。これをマルチピッチ初級者のO.J.とすべてぼくがリードして登ることが今回の一つの目標だ。彼女にとって確実にひとつ上へのステップであり、ぼくにとっても全ピッチリードは一つ上へのステップ。お互いやりがいのある目標だ。
グレードは5.9。トラッド。16ピッチ。アプローチと下降に3時間以上。おそらく彼女と登れるロングルートの上限に近い難易度ではないかと判断した。土地勘のない場所でこのクライミング。取り付きまでの下見は必須なので前日にBlack Velvet Wallへ行き、7ピッチのSour Mashを登った。

Black Velvet Wall・Sour Mash 5.10a 7pitches


O.J. on 6th Pitch of Sour Mash

日曜日のBlack Velvet Wallはとても危険である。なぜってあまりにも人が来るので自分の取り付きたいルートに取り付けないのだ。アプローチ45分でグレードがModerateでボルトで守られたルートが多くあるとこうなってしまう。ぼくらがダートの道で迷い、アプローチで迷ってたどりつたときにはすでに4パーティーが壁のそれぞれのルートに取り付いていた。しかし、Sour Mashはトラッドなので空いている。予想通りである。
壁の巨大ハングの右を掠めるように登って行くルートで、スラブにボルトを打って開かれたルートではなく、あくまでクラックシステムをたどるルート。しかし、プアプロになりそうなところにはかなりしっかりとボルトが打ってあった。ここまで打たなくても…という場所もあり1セット以上もって行ったカムは半分も使わなかった。レッドロックスの特徴であるインカットしたホールドがクラックの周りにも散在しているので、グレードも甘めのような気がした。しかし、無駄なプロテクションを避け、ランナウトしスピードを上げることに関してはいい練習になった。O.J.をどんどんせかしてとにかく早く登ることを心がけて登ったせいか、3時間ちょっとで登ることができた。まずまずである。
この日はEpinephrineの取り付きと正しいアプローチを確認してキャンプサイトへ戻った。



Black Velvet Wall・Epinephrine 5.9 16pitches

レッドロックスの朝は早い。3時起床である。そして5時にパーキングを出発し、朝日の昇る6時から登り始めるつもりだ。
真っ暗なかせっせと歩き、取り付きに一番に到着することができた。準備をしているとそこに早速後続パーティーがやってきた。会うなり”おれたちはかなり早いけど、君らはどう?”などといかにも先に行きたそうにしている。こっちはO.J.もいるし”おれの方が早い”と胸を張って言えないので何となく先に譲ってしまった。こういうのを日本人的というのだろう。さっさと取り付いてしまえばよかった。というのも彼らも片方は早く片方は遅いという組み合わせで、リードに関してはぼくがもっとも早かったから。結局先を行く彼らとは常にアンカーを共有しながら登ることとなった。


もうすぐで下部のChimneyが終わる

前半は6ピッチほどひたすらチムニーを登る。チムニーの中はレッドロックにしてはスムーズな壁で時々、うっ、とチムニーらしさは出てくるが、基本的には優しいチムニーである。プロテクションも豊富に取れ、取れないところではボルトに守られているので、慣れていればランナウトしながらかなり早く登れるのだが、あまり慣れていないO.J.はしばしばスタックしてしまいなかなかスピードが上がらなかった。


上部のコーナーをフォローするO.J.

チムニーを抜け上部に入ると今度はコーナーを登って行く。Black Velvetの各ルートからもよく見えるコーナーだ。ただしコーナーといっても美しいクラックとジャミングを想像してはいけない、プロテクションはクラックで取り、登りはひたすらフェースである。手を伸ばせばガバがあるというレッドロックスの典型的な壁が続く。こうなるとO.J.のスピードも上がりかなり快適に高度を稼ぐことができた。
コーナーを上がり切るとあとは4thClassのスクランブルが数ピッチ。簡単だが落ちると取り付きまで墜落してしまうので要注意。砂岩はたまにもろい部分があるので気をつけないといけない。


Black Velvet Peakで喜ぶO.J.

と、そんなこんなで、色々と予想して緊張して取り付いたEpinephrineだったが、O.J.の頑張りもあり6時間そこそこで登攀終了してしまった。はっきり言って5.9とグレーディングされていて5.9あったピッチはほとんどなかったようだ。通常、5.9、40mのピッチをプロテクションが4個ぐらいで登ることってないのだけど、だんだんプロを取るのが面倒になり最後にはそんなものになっていた。体感的には5.7ぐらいなのだ。
下降はしっかりと観察しておいたお陰で2時間ほどで歩いて降りることができた。暗くなるとちょっとトリッキーなところもあると思うが、他の下降の大変なルート比べるとずっと楽だと思われる。
予想よりも簡単だったとはいえぐいぐい登れるFun Route。クオリティーはまずまず、天気も上々。パートナーにも恵まれ、しかっりと運動になる一日であった。こういう日は本当にビールがうまい!

水曜日, 12月 05, 2007

-Trip Report 3- Caslton Tower それは世界の中心だった

Caslton Tower・North Chimney 5.9

Caslton Tower South Face

モ アブから30分ほど北上しCaslton Valleyに入りしばらくするとまるで砂の山に刺した鉛筆のようにCaslton Towerが見えてきた。今まで見たことのないその造形にぼくらは喜びの声を上げ、そしてその現実離れした風景に思わず沈黙した。Caslton Tower。まさに塔である。

その塔の見えるキャンプサイトは道路沿いにあり、特に施設などはなく、キャンプ料などもなかった。シーズン 終わりに近い平日のせいだろう、ぼくら以外にクライマーが一組とモアブに住む写真家が一人だけキャンプしていた。アプローチが長く、できれば2本のルート を登りたかったぼくらは早々に眠りについた。


枯れたキャニオンを抜けて“塔”を目指す

ア プローチは正しい道を取れば1時間ほどだろう。しかし、踏み跡に惑わされたぼくらは約1時間半ほどかかってしまった。それでも次第に近づいてくる塔を眺め ながらハイキングするのは楽しいものだ。近づくにつれ現実離れしたフォーメーション、美しいのひと言に尽きる岩のテクスチャーが目に入ってくる。こんなわ くわく感そうないだろう。

Caslton Tower North Face
赤い矢印がNorth Chimney 黄色がNorth Face Route

ま ずはNorth Chimney 5.9に取り付いた。コーナーから深いチムニーを登り南壁に回り込んでフィニッシュするルートである。取り立てて核心などはないが、カルサイトという砂岩 の表面を覆う鉱物がとにかく良く滑り、そういった場所ではステミング中にまったく気が抜けない。股関節に悪いことこの上なかった。そんな時々はらはらさせ られる以外は快適そのもので駆け上がるように頂上へ上がることができた。
思いの他狭い頂上だったが風もなく、そこはまさに世界の中心のようなとこ ろだった。明日にはレッドロックスへ向かうぼくとO.J.にとっては、この赤い風景を眺める最後のチャンスだった。しばらくこの風景が見れないのは寂しい ものだ。そんな切ない思いと、また来よう、という強い思いを胸に北壁をラッペルした。久々に頂にいること強烈に感じることができるクライミングだった。や はりピークに登るのは大切なのだ。


Caslton Tower の頂にて

続いてNorth Face に取り付くが1p目でフィストサイズのカムが3,4個必要なことが分かりクライムダウンした。突っ込むこともできたが気持ちの良いルートを登ったあとだけ にそこまで欲がでなかった。こんなのんびりした日があってもいいだろう、と思いながら明るいうちにキャンプサイトへ向けて下山した。

左)North Chimneyの中から 右)最後はSouth Faceへ抜けて快適なフェースを経て頂上へ

翌朝、ぼくらは結局ずっと一緒に過ごしたH氏とカンちゃんと別れ、モアブの赤い砂と別れ、一路ラスベガスを目指したのであった。前回以上に名残り惜しいモアブとの別れであった。

火曜日, 12月 04, 2007

-Trip Report 2 - Bridger Jack Mesa の二つのルート


Bridger Jack Mesaへのアプローチ キャンプサイトから登り40分ほど

インディアンクリークのショートルートを登る以外にもやりたいことがあった。それは岩塔を登ること。さすがに限界グレードを追求することはできないが、それでも大抵のルートにはフィンガーサイズからワイドサイズまでバラエティーに富んだクラックが続き、きっとそこそこのグレードでも充実するはず。何よりも大地に聳える塔の頂上に立ちたいと思った。

まずはインディアンクリークにあるBridger Jack Mesa構成する二つの岩塔、Bridger Jack ButteとKing of Painの二つに目標を絞り、それぞれの入門的ルートを選んだ。もう少し難しいのも狙えたがフォローのO.J.が楽しめないと意味がない。登れれば一日で二本登り充実させればいいのだ。

Bridger Jack Butte・Wild Flower 5.10 3pitches

正面がKing Of Pain, 右がBridger Jack Butte, 左がHummingbird Spire  
黄線がVision Quest   赤線がWild Flower


Bridger Jacj Butte隣のKing of Painのコルへの2ピッチとそこからButteへ登る1ピッチのルート。1・2ピッチ目はあまり傾斜もなく休み休み登ることができる。強いて言えば2ピッチ目の終盤に出てくるワイドハンドからフィストサイズの部分が難しいだろうか。手の小さいO.J.はここで苦戦を強いられた。


Wild Flower 3ピッチ目のチムニ+Offwidth この上が核心

核心は最後の1ピッチ、グレードは5.10だがサイズはOffwidthだ。キャメロットの6番をずらしながら簡単なチムニー登りの後ボルト2本にクリップするとランナウトを強いられるOffwidth。幅はチキンウィングがよく決まるサイズだが慣れていないと精神的につらいだろう。最初身体を入れる向きを間違えかなり悩んだが、身体を半転させるとするすると登れオンサイトすることができた。気持ちのよいチキンウイング(?)とはこのことだろう。その気持ち良さをぜひとも体感してもらいたかったがフォローのO.J.には厳しかったようで、結局半分は上から引き上げることになってしまい、少し腰がおかしくなった。しかし、本人はいい経験になったと言っていた。結構珍しい人だと思うがどうだろう?


Wild Flower を登り終えて

本当の頂上までは行かなかったがメサの上から眺める風景は格別だった。焚き火の跡があり、そこに雨でふやけたモルモン教の聖書があったのはかなり謎である。
2回目の懸垂で下ったあとロープを引くがうんともすんとも言わない。仕方ないので2ピッチ目を全部登り返すと回収されるロープでできた岩角の溝に見事に結び目が挟まってしまっていた。砂岩のマルチピッチの人気ルートではこの手の溝が深いことがあるので注意すべきだった。お陰で中途半端な時間になってしまい隣のKing Of Painは明日出直しとなってしまった。


King Of Pain・Vision Quest 5.10+ 4pitches

King Of PainとはBridger Jack Mesaを構成するひとつの岩塔の名だが、遠くからみるととにかくこの岩塔がもっとも目立っていて、かなり登攀意欲を掻き立てられた。その塔の真ん中を貫くクラックシステムをたどるのがVision Questである。5.10+というグレードは3ピッチ目のハングしたフィストからハンドにつけられているが、ぼくにとっての核心部は2ピッチ目5.10のOffwidthだった。前日のOffwidthのオンサイトに気を良くして鼻歌交じりに登ってゆくと幅約17~20cmのクラックが現れた。プロテクションも取れず、今にも吐き出されそうになるのをこらえながら登ってゆく。少しづつクラックが広がるがなかなか安定してこない。何とか指先まで伸ばし奥の方へキャメの青か何かをセットし精神的に楽になったがそれでも一向にクライミングは楽にならない。あまりのつらさに思わずキャメのカラビナに指をかけてしまった。しかしそれでも大して楽になるわけでもない。結局ズリズリと自力で這い上がるしかなかった。とにかくこの手のサイズは1センチづつ上がるしかないのだなぁ、とカラビナにかけた指先を見ながら後悔したわけである。


左)1ピッチ目をフォローするO.J.  右)2ピッチ目のOffwidthで苦しむO.J.

さてフォローO.J.だがまたしても試練を経験することになった。ビレイ点から例のOffwidthが良く見えるのだが見ていてかわいそうになってしまった。下半身の決め方などを教えるがなかなかできない。そりゃそうだ、練習もなしにそんなことできるわけがない。そしてまたせっせと引き上げるということになってしまったわけだ。いい練習になったことを祈らずにはいられない。
最終ピッチは岩塔と岩塔の間をステミングしピークへ乗り移るという簡単だがランナウトしもろい岩に手に汗握るクライミングだった。



月曜日, 12月 03, 2007

-Trip Report 1-  念願の再訪 Indian Creek

 Cat Wallの取り付きでくつろぐ犬
 

  イ ン デ ィ ア ン ク リ ー ク

 このエキゾチックな響きをもつクライミングエリアのことを始めて知ったのはかれこれ3年前になる。日本のクライミング誌に、赤い砂岩を鋭く貫く美しいクラックを見ることはなかったが、おそらく海外のクライミング誌で目にしたのだろう。その時ぼくはクライミング目的でアメリカに渡ったことは一度もなかった。ヨセミテやビショップ、ライフルなどいくらでもクオリティの高いエリアがあるにも関わらず、ぼくはまずインディアンクリークに行くことを選んだ。そして2年前、3人のクラック狂いとともにロスから一直線にこの地を訪れたのだった。最初に登ったのは確かSupercrack Buttresの3AMというルートだった。垂直のコーナーに30m以上続くハンドサイズのクラック。登れども登れどもアンカーは遠く、パンプしてハンドジャムの形に固まった指でロープをクリップすることができず、口やら手首やらを使いやっとのことでクリップし、猛烈に汗をかきながら登った。ガイドブックを見ると3AMのグレードは5.10だった。これはアップでやるものではない、ということを初日から思い知らされたわけだ。しかし思いしらされたのは初日だけでなかった。滞在期間を通して日々思い知らされ、圧倒され続けた。そして最後には春の砂漠の暑さに圧倒され打ちのめされてヨセミテへと移動したのだった。

 今回は陸路でインディアンクリークを目指した。ここキャンモアからパートナーO.J.と走ること1泊2日。走行距離2300km。前回は春のモアブだったが今回は11月・秋のモアブ。週末のモアブにはマウンテンバイクを積んだ車が多く、みな一年でもっとも快適な季節を楽しんでいるようだった。
 
 まず訪れたのはモアブから車で10分のWall Street。その名の通り道沿いに岸壁が続いているのでアプローチはゼロ。車の中からもビレイができそうな岩場だった。O.J.はスポーツクライミングばかりでジャミングというものを知らないので、まずはここで練習しそれからインディアンクリークへ行く、という作戦。最初は傾斜が緩いかな、と思ったがいくつか美しく厳しいクラックもあり二日間十分に楽しむことができた。町から通える距離だけど岩場のそばにキャンプサイトがあったのでそこに泊まった。湧き水とトイレとテーブルがあるだけの簡素なサイトが1泊10㌦なり。

-Wall Street-
Flakes Of Warth 5.9 O.S.
The Slab 5.8 O.S.
Bad Moki Roof 5.9 O.S.
Baby Blue 5.11a ×
Asstro Lad 5.11a O.S.        
Lucy in the Sky With Potash 5.10a O.S.
30 seconds over Potash 5.8 O.S.


ScarFace Wal の美しく波打ったWavy Gravyとロープを引くO.J.

 Wall Street で二日間登ったあと待望のインディアンクリークへ移動。前回泊まったNews Paper Camp Siteは夏の洪水で閉鎖されており、Briger Jackのサイトへ行った。しかし、普通のセダンで行くにはやや道が悪い。通ることはできるのだが毎日この道を走るのは気が進まないので、やや遠くなるがCotton Wood Camp Siteへ行くことにした。一箇所車で渡渉がある以外は快適なダートのみで運転は格段に楽だ。さらに立派なコットンウッドの下に快適なスペースがほぼ無制限にあった。気に入ったぼくらインディアンクリークを去るまでずっとこのキャンプサイトにいることにした。翌日の夜に日本からきたインディアンクリークの同志H氏とヨセミテから流れてきたカンちゃんも合流し、インディアンクリークの日々が始まった。

Donnely CayonのElephant Man(左) と Supercrack Buttressのとあるルート

 前回登った岩場以外の場所を中心に登ろうと思っていたが、やはり遣り残した宿題もあるし、名クラックをO.J.に登ってほしかったので、結局半分は過去に行った場所、半分は行ったことのない場所へ行くことになった。登った岩場はSupercrack Buttress, Donnely Canyon, Scarface Wall, Cat Wall。どれもやり尽くせないほどの素晴らしいクラックのある岩場ばかりだった。宿題のまま残ってしまったルートもあるし、オンサイトできたナイスクラックもあった。O.J.もあっという間に上達し5.10のルートをしっかりとリードするようになってくれた。それにしても毎回のことだがここにくると時間のなさを痛感する。登っても登ってもいくらでも素晴らしいクラックがまだあるのだ。前回同様、今度はもっと長く居ようと思ってしまった。


ScarFace Wall のMantle Illness 5.11 で一息つくカンちゃん(左) と Scarface 5.11- にトライ中のH氏 (右)


Cat WallのJonney Cat 5.11+に喰らいつくカンちゃん 5.12- という噂も...

登ったルートは以下の通り

-Donnely Canyon-
Binou's Crack 5.9 OS
Elephant Man 5.10 OS
Chocolate Corner 5.9 OS
The Naked and The Dead 5.8 OS/5.10 OS

-Supercrack Buttress-
The Incredible Hand Crack 5.10
Bad Rad Duality 5.10+ RP
Twin Crack 5.9 OS
#24 5.9 OS

-Scarface Wall-
#7 unnamed 5.9+ OS
#8 unnamed 5.10+ OS
Scarface 5.11- RP
Wavy Gravy 5.10- OS
Twitch! 5.11 OS
Where's Carruthers 5.10+ OS
The Sicilian 5.11 ×

-Cat Wall-
Cat Man Do 5.10 OS
King Cat 5.11+ ×



 

金曜日, 11月 30, 2007

キャンモアへ戻る

3週間強のクライミングトリップを終え帰宅しました。

インディアンクリークやラスベガスのことは後々に書くとして、とりあえずラスベガスからの移動のことだけ。
行きはパートナーのO.J.と一緒だったけど彼女はラスベガスから日本へ帰ってしまったので、帰りは独りで運転。一体どれくらいかかるのか心配だったけど、何とか1泊2日でキャンモアまで戻ってきました。それにしても2300kmも延々と北上すると寒くなるもんですね。砂漠地帯から一気に雪景色の風景です。

カナダからアメリカへ行く人の参考になるかと思うので行程を大まかに。。
初日:ラスベガスからモンタナの南の端Dillonという町まで15号線を1000km。約13時間。Salt Lake Cityあたりから北では吹雪いたりしていたので少し時間が掛かりました。やはりこの時期は天気に左右されますね。
二日目:Dillonから延々と15号線をカナダ国境まで北上、そこからレスブリッジとカルガリーを経由してキャンモアへ。距離は1300km。時間は12時間。休憩も国境の審査もカルガリーの渋滞も全部いれて12時間で1300kmとは。走れるもんですね。あとからスピード違反の切符が送られてこないかやや不安です。

雪景色をみていると砂漠の赤い砂と真っ青な空が夢の出来事のようです。そろそろ社会復帰しないと。

日曜日, 11月 11, 2007

ユタ州から報告

ども、久しぶりの更新です。

日本に一時帰国し、右足首に埋められた金属の抜釘をし、カナダへの飛行機に乗るその日に抜糸を済ませました。夏の名残り濃い東京から吹雪のカルガリーへ着くなり、今度はすぐにアメリカへのクライミングトリップへと出発です。南へ南へと約3000Km移動し、現在はユタ州モアブにいます。

モアブといえば美しい砂岩に刻まれた、類まれな、しかしここには無数にあるパラレルなクラック群(クライマー以外はそんなこと思わないと思いますが…)。インディアンクリークでのクライミングも一週間が過ぎ、少しづつグレードもあがり、それとともにからだのあちこちが痛くなってきています。手のでかい自分には厳しかったThin Handのテストピース、5.11-のScarface(5便出してやっとR.P.)、出だしからいきなり水平ハングを越えてゆく5.11bのTwitch!(会心のO.S.!)などなど、今回もいろいろと想い出深いクラックに出会えています。

あと数日インディアンクリークで登りこんだら、次はMoab周辺の岩塔を数本登り、そして今回最後の地Las Vegas近郊のRed Rocksへ移動します。そこではとにかく長いルートを登り続けるつもりですが、どうなるでしょうか。今回初めてインディアンクリークでクラッククライミングを始めたパートナー(何たる幸せ者!)の上達具合と、僕がどれだけリードし続けられるかが鍵になりそうです。

とにかく食べることと登ること、そして眠ることだけを考えている今日この頃です。クライミングトリップをしないクライミングとは何ともったいないとこか、それを日々実感しています。

火曜日, 10月 23, 2007

日本滞在中

 
 今日は東京から西に約400Km。久しぶりに母とドライブをした。たまにはこういうのも良いです。中央道、富士山西側、東名と走って祖母の家へ。高速沿いからみた緑が目にまぶしかった。カナディアンロッキーにはない濃さに目が回った。そして最後にはきれいな落陽をみました。




土曜日, 10月 20, 2007

抜釘→退院→経過

手術というとなんだか大げさに聞こえますが全然大したことなかったようです。場所とか抜くものの量とかにも寄るけど、今回は踝という一番外側の部分をサポートしていた金属なのでいたって簡単なものでした。抜いたものは下の写真ですが、やはり踝の一番突起した部分に被せておくには大きすぎるような気がしました。硬いブーツを履くと時々痛かったんですよね。これで山での不安要素がひとつなくなりました。

手術自体10数分で終わり、翌日からは多少かばいながらも常人並みに歩けるほど。痛みもほとんどないので入院中は読書や、夏の仕事中に撮影した写真の整理、DVD鑑賞、お見舞いに来てくれた人との共時性から環境問題までカバーする雑多な会話などなど、充実した半軟禁生活でした。見舞ってくれたみっこさん、どうもありがとう。差し入れの大量の銘菓・黒棒、コンスタントに消費してます。

あとはカナダに戻るまで、傷口が開かない程度の筋トレとできたらクライミングに行くつもり。あと温泉に行きたいけど。ちょっと無理かなぁ。


今回抜いたもの Stryker 621176 K04441 (80mm×11mm×2mm)

木曜日, 10月 18, 2007

帰国→抜釘 

限られた帰国期間でちゃんと足首から金属を抜くことができるかひやひやしてましたが、無事抜釘が完了しました。13:30に始まり14:00過ぎに完了。手術自体は10分そこらで終わってしまったとか。福生の目白第二病院というところにお世話になってますが、診察から手術まで二日。入院期間は4泊5日。早い早い。あとは感染症に気をつけつつ傷が治るようにやさしく扱ってあげるだけです。これで間違えなく11月はユタ州にクライミングにいけることでしょう。よかった。
医療用ホッチキスで留められた足首の写真でも載せようかと思ったけど、写真にするとえぐそうなのでやめときます。

土曜日, 10月 13, 2007

車という悩みの種 その一

カナダにおける車というのは、食卓における皿のようなものです。
所有していることが当然のもので、ないとほんとに困るんですね。クライミングに行けないどころか、町中のスーパーに行くのすら困難になってしまいます。だから車のトラブルは生活基盤を揺るがしかねない出来事に発展する可能性がある、とてもこわーいものなのです。

ある秋の日、仕事を終えてクライミングジムに行ってから帰ってみるとルームメイトが”車が大変なことになってるよ!”と言いました。しばらく会社の車を使って仕事をしていたので自分の車は家の近くに路駐されていました。その車が大変なことになっている?! とにかく見に行ってみました。



・・・・・・・ 

えらいことになってました。ボロ車と散々こけにしてきたあまり愛されていない愛車ですが、ここまでくると哀れに思えてきます。運転席側がベコリと陥没し窓が粉々、さらに縁石とつっこんだ車にプレスされて反対側の前輪が変形しています。ガラスがないのでそれをカバーするためにビニールが張られていますが、それがまた悲壮感を漂わせています。車内を覗いてみるとなにやらメモが残されていました。ぶつけた相手が残したメモで ”前の建設現場で働いている者だけど、バックしていたらあなたの車に突っ込んでしまいました。私はかくかくしかじかという者で連絡先はXXXです”と。

うむ、これは助かった。当て逃げされる可能性もあったはず。まずはラッキーだと思おう。

それにしてもなぜこの忙しい時にこうなるのだろうか。あと3日間デイハイクの仕事があり、終わった翌々日には日本帰国するというハードスケジュール。こんな状態で一体どこまで処理できるのだろうか?仕事の疲れと突然降ってきた不幸(もしかしたら幸福か)に頭痛がしてきそうです。

まだ処理は途中だけど、カナダにおける交通事故処理の作法も含め実体験として紹介してゆくのでお楽しみに。