月曜日, 5月 25, 2009

5/22 Yam "Necromancer 5.10a 410m" & Rescue


先日ヤムナスカのNecromancerというルートを登りに行って、そこで起こした事故の顛末です。

事故前
8:30 パーキング出発 快晴。ひんやりとした空気と暖かい太陽がが初夏の雰囲気。
9:20 Necromancer取り付き 
自分が最初の3ピッチをリードすることになり、5.7ながらなかなかスパイシーできれいなクラックを45m登り、レッジでビレイ。パートナーがフォローし、ギアを整理して2ピッチ目を登り始めたのが10:00ちょっと過ぎ。2ピッチ目はビレイから少し左の岩の脆い凹角状を5mほど登り右へトラバース気味にBroken Terrainを登って顕著なコーナーへ入り込む。

Necromancer 1P

事故発生
脆い凹角状の部分を落ちそうなブロックに気をつけながら登り0.75サイズのキャメロットをやや下開きのクラックにセット。そして右へトラバースを開始。ここから傾斜は緩くなり小さなレッジが増える。右足をそんなレッジに乗せて加重してしばらくしてから雷のような音と共に50cm×50cmぐらいの大きさで足を乗せていた部分が崩壊。自分は5mほど落下して最初に決めておいたキャメロットが墜落を止める。しかし、崩壊した部分がビレイ点のほぼ真上だったためビレイしていたパートナーの左足の甲に落石が当たってしまう。痛みと腫れから骨折もありえる状況。幸い落石が当たったのは足だけでかすり傷以外に出血はなし。

Necromancerは中央よりやや右

下降&レスキュー
足は着けないが動くことはできるので一つの制動器で二人同時に懸垂下降することにする。落石が起きる可能性とビレイ下のエッジを顧慮してローワーダウンは却下。二枚のナイフブレードをナッツ二つで補強しアンカーを作り、バックアップでカムをセットし強度を確認がてらまずは自分ひとりで数メートル懸垂下降し絡まったロープを整理し、ロープの経路、下降する壁を確認。ビレイ点に戻りパートナーを自分と同じ下降器にセットし背負うような格好で懸垂下降し地面へ。安定した場所へ移動しスプリントを当てて左足首を固定。ヘリの費用をパートナーが心配していたので確認するためにオフィスへ電話するとヘリと救助者が丁度待機していたらしく、折り返しカナナスキスカントリーのレンジャーから電話が入り30分ほどでヘリ到着。ちなみにヘリ費用はフリー。一度頭上を旋回しエリアを確認してからパーキングそばのパッドへ降りる。そして救助者二名を30mぐらいのワイヤーでぶら下げてくる。救助者を降ろして、その二人でパートナーの足の固定を補強、吊り上げ用のハーネスを着せるとまたヘリが飛んできて救助者一人とパートナーを吊り上げてパッドまで。またヘリがやってきて今度はもう一人の救助者とパートナーの荷物を持って飛んでいった。自分は怪我していないので歩いて下山。駐車場でパートナーと落ち合い病院へ。

二人のレスキュー到着

診断
キャンモアの病院でレントゲンを撮り診察。結果は全治2週間ほどの打撲。落石の規模と腫れ具合から骨が折れるか欠けるかしていると思っていたので、うれしい診断結果。

考察
春の岩場の危険さを改めて感じた事故でした。冬の間にクラックに詰まった水、雪、氷で岩が脆くなっていて落ちる刺激を地雷のように待っているのが今の季節。たとえ比較的人気のあるルートやエリアだとしても、この時期に登るときは用心し過ぎることはないのだと思います。あとビレイヤーの上を登らざるを得ない時に出来ることの再確認。ヤムナスカという壁の性格を考えるとホールドやレッジの崩壊を100%予測することは不可能だけれど、ビレイヤーへ影響が出るときはコミュニケーションで危険があることを再確認すること。例えビレイ点から動けない状況でも身構えることはでき、それだけでも危険を回避することは出来るから。などなど多くは自分への反省。パートナーの早期復帰を心より願います。

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