土曜日, 12月 19, 2009

"Being Caribou: Five Months on Foot with an Arctic Herd " written by Karsten Heuer



 久しぶりに長めの体調不良。12/11から喉の痛み→大量の鼻水→咳→熱→頭痛とめまぐるしく症状が変化してやっと12/17に復活の兆し。一時は医者から肺炎かもなんていわれて胸のレントゲンを撮ったりしていましたが、どうやらその後連絡がないので(このあたりがカナディアンシステムだなぁ)何事もなく終わりそうです。昨日は軽くジムで登ってみたがオーバーハングを登ると顔が青白くなっていた。しばらくは慣らし運転でいきます。

 というわけで引きこもって本を読んでいたので、また読んだ本の紹介。著者のKarsten Heuerさんは生物学者で国立公園のワーデン(レンジャー)。奥さんのLeanne Allisonさんは映像作家。この本で描かれているのはその二人が2003年春から秋にかけて季節移動するカリブーの群れと共に極北を旅した記録。ユーコン準州のOld Crowから出発し、アラスカのKaktovikの南、The Arctic National Wildlife Refugeで折り返し、またOld Crowまでほぼ全域をスキーか徒歩で踏破しつつ、カリブーの群れを追うという壮大な旅。カリブーの群れが子供を出産し、夏を過ごす北極海沿岸部のThe Arctic National Wildlife Refugeの一部1002 Sectionがこのストーリーのひとつの焦点。油田開発地として候補に挙がっているそのエリアは、カリブーの季節移動の折り返し地点であり、子供を出産する重要な場所。保護と開発の戦いが80年代から続いていて先住民グループの中でも保護派と開発派がいるという複雑な政治状況やブッシュ政権下の激烈な開発運動にさらされてきた背景があります。
 彼らの旅が強烈な政治的メッセージとなることは困難だったようですが、その体験(Being Caribou カリブーになる)から得たことは、一般の読者へ強いメッセージとなるように感じます。数字や生態の科学的な分析とは対極にある体験からくる身体感覚によって引き出されたメッセージがこの本の中にはたくさん詰まっていました。

 彼らのホームページ(Necessary Journeys)から"Being Caribou"のフィルムやその他背景を知る資料を見ることができます。ちなみに今年のバンフ・マウンテンフィルム・フェスティバルで上映された"Finding Farley"もかなり良かったそうです。ちなみにこのご夫婦、キャンモア在住だそうで。色んな人が結構身近にいるものですな。





4 件のコメント:

大阪 nao さんのコメント...

JIROさん  ご無沙汰しています。
大阪のおばちゃんnaoです。
早速、お勧めのHPに訪問しました。英語だからほとんどわかりませんが、カリブの移動のフイルム映像を見ました。
カリブの移動は、今まで星野さんの写真で見てきましたが、厳しい現実があることを知りました。自然と人類の共存に関しては困難がどこでも大きな課題です。
野鳥サークルに入って、鳥のことを知ると、鳥たちの渡る場所に風力発電の巨大な風車が立ち並び、貴重な猛禽たちも次々と引き裂かれています。日本でも、生物多様性・・・3つの危機が言われて久しいけど、現実は悪化の一途です。今、私はレイチェルカーソン「沈黙の春」を読み始めました。JIROさんのブログにあるお勧めの書物はなかなか紐解けないけど、ますます楽しみは増えました。あっ遅くなりましたが・・・お身体を大切に!

Jiro さんのコメント...

Naoさん、お久しぶりです。
カリブーが子供を生む北極海沿岸地域は同時に渡り鳥が夏を過ごす場所でもあるようですね。カリブーは影響を受ける一部分に過ぎないようです。それにしても、大原野を延々と食料補給をセスナから受けながら歩き続ける旅ってどんなに大変でどんなに意識を変えるチャンスを多く持つものなんでしょうね。憧れます。

英語の本ばかりで申し訳ないです。しかも翻訳の出ていないものばかり。冬は読書の季節なのでたまには日本語の本も紹介したいと思います。蔵書が限られているのでついつい英語の本に手が伸びるんですよね。しかも最近働き始めたところには素晴らしい図書館があり、アートや山文化、自然関係の本が満載。またそのうち冬の仕事のこともアップします。

Yukon Jack さんのコメント...

ご無沙汰ジロー!クリスマス?正月って何?状態で働いてます。
俺も掘り下げるタイプだけと、ジローもほりさげるね。トンプソンも面白そうだね。

カリブーの方はユーコナーとしては、気になるね。もちろんDVDは観ているけど、そのときはまだロッキーにいたから、また読んでみたいね。この人、JNPでレンジャーしてて会ったことあるよ。そのときは、どこかで見たな、この人って感じで思い出せなかったけどね、分かれて5分くらいしてから思い出したわ、、、くーるなことしてますね、しかしこの人・・・・

Jiro さんのコメント...

支店長、おつかれっす。
いやいや貴殿の掘り下げっぷりと比べたら子供の遊びですよ。

トンプソンはなかなか面白いです。是非読みましょう。ユーコナーならマッケンジーなんかも抑えておくと良いのでは?

今年は初めてクリスマスらしいクリスマスを迎えました。ちなみに仕事は週二日クライミング週五日。ナイスバランスです!