火曜日, 12月 04, 2007

-Trip Report 2 - Bridger Jack Mesa の二つのルート


Bridger Jack Mesaへのアプローチ キャンプサイトから登り40分ほど

インディアンクリークのショートルートを登る以外にもやりたいことがあった。それは岩塔を登ること。さすがに限界グレードを追求することはできないが、それでも大抵のルートにはフィンガーサイズからワイドサイズまでバラエティーに富んだクラックが続き、きっとそこそこのグレードでも充実するはず。何よりも大地に聳える塔の頂上に立ちたいと思った。

まずはインディアンクリークにあるBridger Jack Mesa構成する二つの岩塔、Bridger Jack ButteとKing of Painの二つに目標を絞り、それぞれの入門的ルートを選んだ。もう少し難しいのも狙えたがフォローのO.J.が楽しめないと意味がない。登れれば一日で二本登り充実させればいいのだ。

Bridger Jack Butte・Wild Flower 5.10 3pitches

正面がKing Of Pain, 右がBridger Jack Butte, 左がHummingbird Spire  
黄線がVision Quest   赤線がWild Flower


Bridger Jacj Butte隣のKing of Painのコルへの2ピッチとそこからButteへ登る1ピッチのルート。1・2ピッチ目はあまり傾斜もなく休み休み登ることができる。強いて言えば2ピッチ目の終盤に出てくるワイドハンドからフィストサイズの部分が難しいだろうか。手の小さいO.J.はここで苦戦を強いられた。


Wild Flower 3ピッチ目のチムニ+Offwidth この上が核心

核心は最後の1ピッチ、グレードは5.10だがサイズはOffwidthだ。キャメロットの6番をずらしながら簡単なチムニー登りの後ボルト2本にクリップするとランナウトを強いられるOffwidth。幅はチキンウィングがよく決まるサイズだが慣れていないと精神的につらいだろう。最初身体を入れる向きを間違えかなり悩んだが、身体を半転させるとするすると登れオンサイトすることができた。気持ちのよいチキンウイング(?)とはこのことだろう。その気持ち良さをぜひとも体感してもらいたかったがフォローのO.J.には厳しかったようで、結局半分は上から引き上げることになってしまい、少し腰がおかしくなった。しかし、本人はいい経験になったと言っていた。結構珍しい人だと思うがどうだろう?


Wild Flower を登り終えて

本当の頂上までは行かなかったがメサの上から眺める風景は格別だった。焚き火の跡があり、そこに雨でふやけたモルモン教の聖書があったのはかなり謎である。
2回目の懸垂で下ったあとロープを引くがうんともすんとも言わない。仕方ないので2ピッチ目を全部登り返すと回収されるロープでできた岩角の溝に見事に結び目が挟まってしまっていた。砂岩のマルチピッチの人気ルートではこの手の溝が深いことがあるので注意すべきだった。お陰で中途半端な時間になってしまい隣のKing Of Painは明日出直しとなってしまった。


King Of Pain・Vision Quest 5.10+ 4pitches

King Of PainとはBridger Jack Mesaを構成するひとつの岩塔の名だが、遠くからみるととにかくこの岩塔がもっとも目立っていて、かなり登攀意欲を掻き立てられた。その塔の真ん中を貫くクラックシステムをたどるのがVision Questである。5.10+というグレードは3ピッチ目のハングしたフィストからハンドにつけられているが、ぼくにとっての核心部は2ピッチ目5.10のOffwidthだった。前日のOffwidthのオンサイトに気を良くして鼻歌交じりに登ってゆくと幅約17~20cmのクラックが現れた。プロテクションも取れず、今にも吐き出されそうになるのをこらえながら登ってゆく。少しづつクラックが広がるがなかなか安定してこない。何とか指先まで伸ばし奥の方へキャメの青か何かをセットし精神的に楽になったがそれでも一向にクライミングは楽にならない。あまりのつらさに思わずキャメのカラビナに指をかけてしまった。しかしそれでも大して楽になるわけでもない。結局ズリズリと自力で這い上がるしかなかった。とにかくこの手のサイズは1センチづつ上がるしかないのだなぁ、とカラビナにかけた指先を見ながら後悔したわけである。


左)1ピッチ目をフォローするO.J.  右)2ピッチ目のOffwidthで苦しむO.J.

さてフォローO.J.だがまたしても試練を経験することになった。ビレイ点から例のOffwidthが良く見えるのだが見ていてかわいそうになってしまった。下半身の決め方などを教えるがなかなかできない。そりゃそうだ、練習もなしにそんなことできるわけがない。そしてまたせっせと引き上げるということになってしまったわけだ。いい練習になったことを祈らずにはいられない。
最終ピッチは岩塔と岩塔の間をステミングしピークへ乗り移るという簡単だがランナウトしもろい岩に手に汗握るクライミングだった。



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