日曜日, 12月 09, 2007

-Trip Report 4- Epinephrine もう一つ上へ


痛っ! レッドロックスのアプローチの要注意植物

晩秋の色濃いインディアンクリークを後にして、向かうはSin City・Las Vegasである。
マネーとエロスとエンターテイメント渦巻くダウンタウンから西に30分ほど車で走ると、我々の目指すレッドロックスが見えてくる。北から南へきれいに並んだいくつものピークがレッドロックスというエリアを構成し、そのピークを分けるいくつもの深いクリークが複雑なエリアを作りだしている。これが代表的な壁である!という極端に大きな壁はないが、いくつかの美しい壁が散在してる。Rainbow Wall, Black Velvet wall, Eagle Wallなどなど。なかにはアプローチに2時間から3時間かかるエリアもあり、時間の限られたぼくらはアプローチや下降なども考慮してルートを選ぶことになった。
しかし、来る前から決めていたルートがあった。それはEpinephrine。これをマルチピッチ初級者のO.J.とすべてぼくがリードして登ることが今回の一つの目標だ。彼女にとって確実にひとつ上へのステップであり、ぼくにとっても全ピッチリードは一つ上へのステップ。お互いやりがいのある目標だ。
グレードは5.9。トラッド。16ピッチ。アプローチと下降に3時間以上。おそらく彼女と登れるロングルートの上限に近い難易度ではないかと判断した。土地勘のない場所でこのクライミング。取り付きまでの下見は必須なので前日にBlack Velvet Wallへ行き、7ピッチのSour Mashを登った。

Black Velvet Wall・Sour Mash 5.10a 7pitches


O.J. on 6th Pitch of Sour Mash

日曜日のBlack Velvet Wallはとても危険である。なぜってあまりにも人が来るので自分の取り付きたいルートに取り付けないのだ。アプローチ45分でグレードがModerateでボルトで守られたルートが多くあるとこうなってしまう。ぼくらがダートの道で迷い、アプローチで迷ってたどりつたときにはすでに4パーティーが壁のそれぞれのルートに取り付いていた。しかし、Sour Mashはトラッドなので空いている。予想通りである。
壁の巨大ハングの右を掠めるように登って行くルートで、スラブにボルトを打って開かれたルートではなく、あくまでクラックシステムをたどるルート。しかし、プアプロになりそうなところにはかなりしっかりとボルトが打ってあった。ここまで打たなくても…という場所もあり1セット以上もって行ったカムは半分も使わなかった。レッドロックスの特徴であるインカットしたホールドがクラックの周りにも散在しているので、グレードも甘めのような気がした。しかし、無駄なプロテクションを避け、ランナウトしスピードを上げることに関してはいい練習になった。O.J.をどんどんせかしてとにかく早く登ることを心がけて登ったせいか、3時間ちょっとで登ることができた。まずまずである。
この日はEpinephrineの取り付きと正しいアプローチを確認してキャンプサイトへ戻った。



Black Velvet Wall・Epinephrine 5.9 16pitches

レッドロックスの朝は早い。3時起床である。そして5時にパーキングを出発し、朝日の昇る6時から登り始めるつもりだ。
真っ暗なかせっせと歩き、取り付きに一番に到着することができた。準備をしているとそこに早速後続パーティーがやってきた。会うなり”おれたちはかなり早いけど、君らはどう?”などといかにも先に行きたそうにしている。こっちはO.J.もいるし”おれの方が早い”と胸を張って言えないので何となく先に譲ってしまった。こういうのを日本人的というのだろう。さっさと取り付いてしまえばよかった。というのも彼らも片方は早く片方は遅いという組み合わせで、リードに関してはぼくがもっとも早かったから。結局先を行く彼らとは常にアンカーを共有しながら登ることとなった。


もうすぐで下部のChimneyが終わる

前半は6ピッチほどひたすらチムニーを登る。チムニーの中はレッドロックにしてはスムーズな壁で時々、うっ、とチムニーらしさは出てくるが、基本的には優しいチムニーである。プロテクションも豊富に取れ、取れないところではボルトに守られているので、慣れていればランナウトしながらかなり早く登れるのだが、あまり慣れていないO.J.はしばしばスタックしてしまいなかなかスピードが上がらなかった。


上部のコーナーをフォローするO.J.

チムニーを抜け上部に入ると今度はコーナーを登って行く。Black Velvetの各ルートからもよく見えるコーナーだ。ただしコーナーといっても美しいクラックとジャミングを想像してはいけない、プロテクションはクラックで取り、登りはひたすらフェースである。手を伸ばせばガバがあるというレッドロックスの典型的な壁が続く。こうなるとO.J.のスピードも上がりかなり快適に高度を稼ぐことができた。
コーナーを上がり切るとあとは4thClassのスクランブルが数ピッチ。簡単だが落ちると取り付きまで墜落してしまうので要注意。砂岩はたまにもろい部分があるので気をつけないといけない。


Black Velvet Peakで喜ぶO.J.

と、そんなこんなで、色々と予想して緊張して取り付いたEpinephrineだったが、O.J.の頑張りもあり6時間そこそこで登攀終了してしまった。はっきり言って5.9とグレーディングされていて5.9あったピッチはほとんどなかったようだ。通常、5.9、40mのピッチをプロテクションが4個ぐらいで登ることってないのだけど、だんだんプロを取るのが面倒になり最後にはそんなものになっていた。体感的には5.7ぐらいなのだ。
下降はしっかりと観察しておいたお陰で2時間ほどで歩いて降りることができた。暗くなるとちょっとトリッキーなところもあると思うが、他の下降の大変なルート比べるとずっと楽だと思われる。
予想よりも簡単だったとはいえぐいぐい登れるFun Route。クオリティーはまずまず、天気も上々。パートナーにも恵まれ、しかっりと運動になる一日であった。こういう日は本当にビールがうまい!

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